優秀農林水産業者シンポ

優秀農林水産業者シンポ

優秀農林水産業者のシンポジウム
現地視察で親子山村留学など説明する阿室校区活性化対策委員会の後藤会長(左から5人目)

振興に「農村協働力」を
天皇杯受賞の阿室校区活性化委が発表

 

農林水産省と(公財)日本農林漁業振興会は20日、奄美市名瀬のホテルで2017年度農林水産祭「優秀農林水産業者に係るシンポジウム」を開いた。村づくり関係団体、行政など約150人が参加し、農林水産祭むらづくり部門で天皇杯を受賞した宇検村の阿室校区活性化対策委員会の業績発表や、協働によるむらづくりをテーマにディスカッションが行われた。同日午前中に、関連行事で現地視察も実施された。

開会行事で九州農政局の堀畑正純次長、県大島支庁の鎮寺裕人支庁長、元田信有宇検村長があいさつ。また自民党の金子万寿夫衆院議員からの祝福のメッセージも紹介された。
 農林水産祭で審査にあたった京都大学大学院の浅野耕太教授が選賞審査報告。「天皇杯受賞は、高校野球の甲子園で優勝することに匹敵。阿室校区は取り組みをもっと発信してほしい」と語った。

村づくり部門の審査基準は、▽自主的な努力と創意工夫の状況▽合意形成の状況▽推進体制の整備・運営の状況▽地域農林漁業の整備・運営の状況と担い手の育成状況▽豊かで住みよい農山漁村の建設への寄与状況。浅野教授は、「阿室校区は審査基準を満たし、農村協働力が極めて高いレベルで発揮されている」と報告した。

続いて同委員会の後藤恭子会長がスライド資料で業績発表。「09年に学校存続の危機で、委員会を立ち上げた。親子山村留学に対する集落の理解で、12年には児童生徒数は22人と倍増。多様性を受け入れる地域の大らかさがあるのではないか」と説明した。

休憩をはさみ、浅野教授をコーディネーターとして、後藤会長、農林水産祭中央審査委員会村づくり分科会の合瀬宏毅委員、村産業振興課の松元五月課長、NPO法人TAMASUの中村修理事長が登壇してディスカッションを実施。I・Uターン者と地域との協働によるむらづくりをテーマに意見交換や質疑応答が行われた。

浅野教授は、阿室校区の取り組みに上手く行政が関わり一緒にやっている点や、農産物としてフィンガーライムに着目したことなどを評価。「農山漁村は見えざる国富を生み出す。農村の振興に農村協働力が大事。阿室校区が移住者の力を借りて、それを上手く引き出している」と締め括った。

現地視察の参加者約30人は、貸切バスなど2台に分乗して移動。視察は屋鈍共同墓地、阿室小中学校、平田共同売店などを回った。

阿室小中では、稲作学習の実施や山村留学生が21人中13人と過半数を占めることなどを後藤会長から説明。受け入れに関する参加者からの質問に後藤会長は、「自分もIターン者。文化の違いに戸惑いもあった。親子山村留学は体験で来てもらい、決めてもらうので受け入れはスムーズだった」と回答した。

平田では、共同売店と村が改修した移住者の住宅など見学。奄美市住用町川内から視察に参加した山田紘一集落嘱託員は、「I・Uターン者を上手く地域にとけ込ませている。地域行事にも参加していて、地域活性化のヒントが得られた」と話した。