地域包括ケアと「伝泊」複合

「まーぐん広場・赤木名」への改築が進められている奄美市笠利町の「スーパーさと」跡地

7月開業予定「まーぐん広場・赤木名」
奄美イノベーション㈱

 奄美市笠利町出身の建築家、山下保博さんが昨年設立し、自身が代表取締役社長を務める「奄美イノベーション㈱」の入社式が2日、同市笠利町の太陽が丘運動公園内農村環境改善センターであり、同社の活動が本格的に始まった。同日から5日まで新入社員研修も行われている。研修の中で山下さんは、同社が同市笠利町の「スーパーさと」跡を改修し、地域包括ケアの拠点施設と宿泊施設を複合した「まーぐん広場・赤木名」を今年7月に開業させることなどを話した。

 山下さんは2016年から奄美群島の伝統的建造物や地域住民に愛された「伝説的」建造物などを改修し、宿泊施設として活用する「伝泊」の設計・運営を手掛けてきた。伝泊は現在、奄美大島と加計呂麻島に5棟展開しており、今月7日には同市笠利町に6棟目をオープンさせる。今後、伝泊の運営・管理は同社が行うこととなる。

 また、同社が整備を進める「まーぐん広場・赤木名」は、国土交通省の17年度「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」に選定されており、補助金を活用し事業を推進。2015年に閉店した同市笠利町の同スーパー跡の建物を改築し、地域包括ケア拠点と伝泊を内包した複合施設にする。1階部分に介護施設、学童保育施設のほか、レストランや特産品販売施設を設置。2階部分を伝泊として利用する予定。「集落の人や、観光客がともに交わるような“広場”として運営していく」と山下さん。また、同スーパー以外にも周辺の空き家を借り上げ、開放型工房付きの高齢者住宅やシェアハウスなどとして活用し、集落全域の一体的な活性化を目指す。

 研修によると伝泊は今後、集落との連携を強め、イベントを企画・推進する予定しており、地域住民と共同で運営することなども計画されている。また山下さんは、高速船などの交通手段を用いた「奄美群島ホッピング」の推進なども行っていきたいとした。この日は山下さん以外に、同社執行役員などによる研修もあり、新入社員約20人が真剣な面持ちで耳を傾けた。

 同研修は5日まで一般公開の上で実施される。3日は午前9時から午後6時半まで。いずれも会場は同センターとなっている。