世界自然遺産価値親しんで

希少種や固有種などが生息する龍郷町長雲の奄美自然観察の森

生物多様性と生態系で推薦

  大型連休の後半に突入し、奄美各地の観光地やレジャー施設などは観光客や余暇を楽しむ人々でにぎわいを見せている。4日は「みどりの日」。今夏の奄美の世界自然遺産登録に関しては、間もなくユネスコの諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)の勧告が行われる。その判断が注目されるが、世界自然遺産の候補地の奄美の自然に親しんでみるのも一興だ。

 「みどりの日」は国民の祝日に関する法律により、2007年から現在の5月4日に制定。「みどりの日」は、自然に親しむとともにその恩恵に感謝し豊かな心を育むことが趣旨になっている。

 世界自然遺産に登録されるためには、遺産として顕著で普遍的な価値(OUV)を有する必要がある。17年2月にユネスコに提出された推薦書では、登録基準(クライテリア)を満たすのものとして生態系と生物多様性の二つをあげている

 ここでいう生態系とは、大陸と分離・結合を繰り返した複雑な地史を反映した独自の生物進化を指す。大陸では絶滅した生物が、奄美などでは遺存固有種として生息していることが遺産の価値とされる。

 生物多様性は、島ごとの異なる多様な生物種がいることで保全上重要な地域とされる点。世界でも奄美にしかいない固有種が多いことも、自然遺産の価値でないかとされている。

 こうした貴重な奄美の自然を気軽に体験できる場所として、龍郷町長雲に奄美自然観察の森がある。同地は世界自然遺産登録で想定される観光客の増大へ対応する目的で、施設のリニューアルが計画されている。

 同地では散策路を回りながら、希少種や固有種などの観察が可能。また現在オーストンオオアカゲラやルリカケスなどの繁殖期間にもあたり、森の中では様々な野鳥の声を聞くことができる。

 自然観察には、国立公園などのルールに注意する必要がある。希少な動植物の中には、条例などで捕獲・採取が禁じられている種があるからだ。

 自然観察の森で観光客などを案内する同町自然観察指導員の川畑力さんは、「連休に入り昨年より観光客などが多く来ている。観察する時は子育て中の野鳥もいるので、静かに観察してもらいたい」と話した。