〝一石二猪〟害獣を資源化

テープカットで天城町獣肉処理施設のオープンを祝う関係者=18日、同町浅間

県内初施設「山猪工房あまぎ」オープン 天城町

 【徳之島】天城町獣肉処理施設「山猪(やましし)工房あまぎ」(同町浅間)のオープン式典が18日あった。有害鳥獣駆除事業などで捕獲された害獣のイノシシを「資源」とみなし「食からの地域おこし」へ〝一石二猪〟の利活用を推進。精肉直販によるジビエ料理の普及と併せ、特産品の開発も進めていく。県協力の同種施設は県内初という。

 同町内のイノシシによるサトウキビ食害を中心とした農作物被害額は2012年度が2847万1千円。同年度から14年度にかけて鳥獣被害対策実践事業を導入して侵入防止柵を南北延べ6万5400㍍設置し、「囲い罠=わな=」も3基導入。減少はしたが16、17年度も4百万円台の被害が続いている。

 同町猟友会(永井良徳会長・18人)に依頼した有害鳥獣駆除事業による捕獲頭数は年間平均200頭前後(ほか狩猟期間中に約100頭)。だが、せっかく捕獲駆除された同資源の一部は埋設処分されるなど有効活用が課題となってきた。

 町総合運動公園近くの町道沿いに待望完成した同施設は、木造平屋(延べ床面積72・36平方㍍)。機器設備含む総事業費は2392万7千円(うち中山間地域所得支援事業補助約49%)。公募した名称は同町瀬滝の木村憲一郎さん(57)の「山猪工房あまぎ」を採用。当面は、町と町猟友会が共同で管理運営する。今月から捕獲イノシシ個体の買い取りを含め解体処理受託・販売も始めた。

 オープン記念式典には関係者約40人が参加。大久幸助町長はイノシシ被害の現状にふれながら「世界自然遺産登録は延期になったが、われわれは諦めていない。多くの人たちに入って食べていただけるよう、町としても支援していきたい」ともアピールした。

 同施設の年間処理頭数は約100頭。専門知識を備えた解体専門士(猟友会会員)が担当し、解体処理の受託料金は1個体5千円(町外1万円)。精肉の同施設直販価格(100㌘)は▽ヒレ・ロース400円▽バラ、モモ、カタ300円▽ミンチ100円。式典後の焼肉試食会では「意外とくせもなく、軟らかく歯応えも良くおいしい」などと好評だった。

 専用電話は開設手続き中。担当は同町役場農政課。