巣立ちを控えたオーストンオオアカゲラのヒナにエサを運ぶメスの親鳥(23日正午ごろ)
龍郷町・自然観察の森
エサ運び子育てする姿も
入梅から2週間が経った奄美地方。梅雨らしくない青空が広がった23日午前、龍郷町の奄美自然観察の森ではオーストンオオアカゲラのヒナが巣穴から不安げに顔を出す様子や、甲斐甲斐しくエサを運ぶ親鳥の姿が見られた。
同施設の自然観察指導員・川畑力さんが今年、オーストンオオアカゲラの営巣を初めて確認したのは3月下旬。川畑さんは営巣する木の周囲に規制線を張り様子を見守った。4月下旬には2羽のヒナがふ化。親鳥が代わる代わる世話をし、今月21日に1羽は無事巣立った。
『奄美の野鳥図鑑』(NPO法人奄美野鳥の会=編)によると、オーストンオオアカゲラは国内に4亜種が知られているオオアカゲラの亜種の一つで、4亜種中一番大きい。巣立ちが近づくと親鳥はあまりエサを運ばないようになり、じらすように、ヒナに巣立ちを促すこともあるという。
この日もなかなか巣立ちしないヒナを誘うかのように、親鳥がエサを持って巣に訪れる姿が何度も見られた。ときには姿を隠し「キョッ、キョッ」という鳴き声や、木をたたくドラミングの音だけを響かせる。ヒナは鳴き声や音を聞き、巣穴から顔を出すものの、とうとうこの日の夕方までに巣立ちすることはなかった。
川畑さんは「もういつ巣立ちしてもおかしくない状態」とし、観察者に「刺激を与えないよう写真撮影時のフラッシュなどは控えてほしい。規制線を守りなるべく静かに見守って」と呼び掛けている。