九州経済研究所(KER=鹿銀系シンクタンク)は、県内企業の人手不足に関する調査結果をまとめた。人手不足対策に「取り組んでいる」「取り組む予定」と回答した企業が8割以上となり、人材確保に奔走する企業の現状が浮き彫りに。取り組み内容では「求人条件の見直し(賃金等)」が最多だった。
調査は、業況調査とあわせて6月下旬に実施(調査方法はインターネットおよび郵送)。県内主要企業500社を対象にしたところ、回答率は70・2%に及んだ。
結果をみると、人手不足対策について「現在取り組んでいる(または過去に取り組んだことがある)」は52%。「現在取り組んでいないが、今後取り組む予定」は31%で、8割以上の企業が人手不足対策に取り組んでいる、または取り組む予定であることがわかった。
業種別(大分類)にみると、「現在取り組んでいる(または過去に取り組んだことがある)」と「現在取り組んでいないが、今後取り組む予定」の合計が最も多かったのが建設業(92%)。
対策として取り組んでいる内容は、「求人条件の見直し」が66%と最多。次いで「従業員の待遇改善(離職防止)」(48%)、「複数業務をこなせる従業員を育成(従業員の多能化、兼務化)」(32%)などの順。「求人条件の見直し」は旅館・ホテル(92%)や建築(86%)で回答が多く、「従業員の待遇改善」は衣料品小売(100%)や外食産業(75%)で多かった。
また、「無人化、自動化、省力化を目的とした設備投資(パソコンソフト購入等も含む)」は全体の15%にとどまり、過去3年間の投資実績(累計)、今後3年間の計画(同)ともに、5千万円未満の割合が大半を占めている。業種別(中分類)では食料品製造業(29%)や土木(27%)で回答割合が高かった。具体的な投資内容としては自動化・省力化のための設備やパソコンソフトの導入などが多かった。
自由意見では「主原料の野菜生産者の高齢化・人員不足が深刻な状況であり、自社だけの問題ではなくなってきている。人員不足対策は急務であり、抜本的な対策が必要」(食料品)、「新卒採用は高卒に絞っている。より企業の知名度・魅力を発信する取り組みが必要。中途採用も同時に進めている状況。ハローワークだけでなく派遣会社にも依頼中」(木材)、「(採用について)大学・短大・高校を定期的に訪問。就職担当者との情報交換を密にしている」(建設資材)などがあった。