3年ぶりの屋内開催で伝統を維持。徳之島町手々「むちたぼり」行事=15日夜、手々小中体育館
【徳之島】月遅れ盆最終日の15日夜、徳之島町手々集落(嶺田正秀区長、72世帯116人)では、伝統行事の「むちたぼり」があった。台風18号の悪天候で踊り連の「家回り」は見送ったが、手々小中体育館の屋内会場で〝白布の舞い〟を披露。町外からの賛助出演団体や見物客たちも迎え伝統を守った。
「むちたぼり」は、稲作文化に根差した収穫感謝や豊作祈願の意味を持つ「ムチタボレ」「アキムチ」などと同列の秋祭りの一つ。頭上からすっぽりと白布をまとって、扇子と棒を手に踊る男性陣のいで立ちは一種独特。その意味やいわれも諸説あり、神秘性をあおっている。
近年は月遅れ盆最終日、手々小中校庭を主会場した盆踊りと併催している。男女2列の踊り連が、長老格の唄者たちの軽快な三味線や太鼓、歌声にのせて、集落小組合代表など計6軒を訪問。月明かりの下、情熱的で神秘的な〝白布の舞い〟を披露している。
「家回り」の見送りは、戦後初とみられる2015年(悪天候で順延して同体育館開催)いらい3年ぶり。体育館には各家庭で送り盆の儀式を終えた住民や、町内外からの見物客たちが悪天候をついて来場。午後8時、同級生コンビの小倉フジエさん(92)と堀田セツさん(同)ら11人の唄者たちの軽快な演奏で〝白布の舞い〟が始まった。
手々小中の全児童生徒9人も交え、軽快な踊りで見物客たちを魅了した。伊仙町の「南洲エイサー」隊も賛助出演して盛り上げ、会場一体となった盆踊りでも盛り上がった。
嶺田区長(71)は「なるべくなら巡行(家回り)して校庭で開催したいが、雨や台風だからと中止にだけはしたくない。子どもたちも日ごろから練習を重ね、大人ともども楽しみにしている。住民ぐるみで伝統を守っていきたい」と話した。