台湾から1万7千人以上の観光客が奄美大島に訪れた
台湾を発着点とした中型クルーズ船「サンプリンセス」(約7万7千㌧)の奄美大島(名瀬港)への今期寄港計画がこのほど、終了した。7月20日から9月21日まで寄港数は計8回に上り、乗船客数は延べ約1万7200人、船員を合わせると約2万4千人が訪れた。同市紬観光課はクルーズによる経済効果を約4億6400万円と試算。今回の対応を踏まえ、同課は関係機関と連携したインバウンド(訪日外国人観光客)対策に取り組んでいく。
今回は台湾を出発して名瀬港で折り返す奄美・沖縄ツアー。当初11回を計画していたが台風接近で3回キャンセルとなった。毎週金曜日に寄港し、1回当たり平均乗客2150人が訪れた。半日滞在クルーズのため宿泊はなかったが、それでも1寄港当たりの経済効果は5800万円とされた。
乗船客は台湾人で夏休みを利用しての家族旅行がほとんど。奄美での滞在はオプショナルツアーによる島内北部観光が中心だがタクシーやレンタカーを予約し、インターネットでチェックした観光スポットを巡る若い世代も目立った。
また同船が停泊する名瀬港観光船バースから名瀬市街地までシャトルバスが1回100円で運行。商店街への誘導促進につながった。
同課は「島内観光や市街地での購買など地域への経済波及は大きかった」と総括。さらに従来の単発的なクルーズ観光に比べ、週1回寄港が2カ月間続くという定期スケジュールから問題点の対応策の次回導入が可能となり、成果を挙げたことを「大きな収穫」ととらえている。
島内観光バスやタクシーなどの車両手配や通訳ボランティアの確保に、関係者の多くは「対応日がわかっているので必要なスタッフ集めや準備が比較的容易だった」。
また市街地のスーパーは毎週金曜日をセール日に設定したり、免税端末を配置した特設カウンターを設け対応するケースも。岸壁での見送りセレモニーでは、「おもてなし」を印象づけようと、期間の中ごろから台湾民謡「高山青(カオシャンチン)」を歌うことも取り入れた。
同課は関係者と意見交換を図り、来年度も寄港検討されているという同クルーズの受け入れ態勢充実に努める。今年度はインバウンドセミナー事業を計画しており、地域機運の醸成を高める方針。奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録の実現、奄美群島のミシュラン・グリーンガイド掲載など今後の入込増を見据え、同課担当者は「関係機関と連携して受け入れのあり方を考えたい」とした。