台風被害、観光客受入に支障

台風被害、観光客受入に支障

3連休最終日、奄美市住用町のマングローブ原生林。観光客の姿も多く見られた

宿泊施設内設備に不良も
観光スポットにぎわい
早い復旧・復興期待

先月29日から1週間ほどの間に、たて続けに奄美群島に接近し通過した二つの台風24号、25号は、多数の家屋損壊、サトウキビを始めとした甚大な農産物被害など、各方面に大きな爪痕を残した。右肩上がりで群島内への入込数は伸び、例年多くの観光客が各島を訪れているが、予定客のキャンセルなど、台風シーズンに珍しくない被害はもとより、施設内設備に不良が生じ、今も観光客の受入に支障の出ている施設もあるなど、拡大した被害に関係者から悲鳴が聞こえる。

台風24号の接近により、通過後の1日時点で3万世帯を超える停電のほか、住家被害3647棟、非住家被害605棟の報告も上がった(県危機管理防災課発表・5日午後3時現在)。「ここ数年間で最も被害が出た」とこぼすのは沖永良部島内のホテル関係者だ。

同島でも、「電柱が倒れるなどで29日に停電。復旧しないうちに25号も来た」(関係者)。台風接近で航空路ともに欠航となり「大多数のキャンセルが出た」。

宿泊予定客を失ってしまうことは台風シーズンで珍しくないが、今回は被害が拡大。「客室に塩害被害が出るなど、後片付けに時間が掛かった。停電の復旧は早かったが、(携帯の)電波が入らずお客さまにも不都合な思いをさせてしまった」とため息を漏らした。

奄美大島島内のあるホテルでは、施設内の電気系統に故障が生じ、完全復旧に向けた対応が今も続く。「内線電話が使えず、テレビが映らない部屋など、使用できる部屋とそうでない部屋を分けているところ。2~3週間先までの予約は受け付けられていない。修理を急ぎたいが、業者さんも忙しいようで…」。予想以上の被害に頭を抱えていた。

3連休最終日の8日、群島内は概ね晴れの天気。奄美大島の人気観光スポット、マングローブ原生林には、島内在住者とみられる人のほか、レンタカーで訪れた観光客らしき姿も多く見られた。観光も含め、被災地域全体のより早い復旧・復興が望まれる。