消費落ち込み懸念

消費税率の引き上げで住民の消費の落ち込みが懸念される

負担軽減策 景気の下支え効果期待も
離島物価への影響「避けられず」
消費増税表明

 安倍首相が15日午後、臨時閣議で消費税率を来年10月1日から予定通り10%に引き上げることを表明した。全世代型社会保障を実現する財源確保を目的としているものの、離島である奄美の住民の暮らしにも影響が予想される。経済界からは、離島物価への影響や消費の落ち込みを懸念する意見が聞かれた。市民からは、「不要なものは買わない買い控えの対応を考えている」との声があった。

 消費税率の10%への引き上げは、これまでに2度延期。増税による景気への悪影響を抑えるために対策の検討も指示。負担の軽減策として、エコカー減税の延長や住宅ローン減税の拡充、食料品は8%に据え置く軽減税率が導入される見込み。

 奄美大島商工会議所の谷芳成会頭は、消費税率引き上げによる影響を懸念。「延期があり引き上げについて多くの事業者は対応を進めている。ただ前回の引き上げ同様、離島物価への影響は避けられず消費が落ち込まないか」とした。

 自動車や住宅などの負担軽減策については、動機づけに有効として景気の下支え効果を期待。キャッシュレス決済を対象に、中小業者の店舗限定で増税分のポイント還元も検討されていることに「キャッシュレス決済を進める点は同感。検討に際し機器購入に補助など検討してもらいたい」。

 地場スーパー・㈱グリーンストアの里泰慶代表取締役(76)は、引き上げ後の消費の冷え込みを懸念する。「店側としては、レジの改修など出費が伴い負担。スーパーは食料品だけでなく、日用品もあるので買い控えなどあるかもしれない」と話した。

 「仕入れを鹿児島や東京などから実施しているので、輸送運賃がかかりそう。国には離島の輸送コストに関して補助など考えてもらえれば」と里代表。

 グリーンストア末広店に買い物に来ていた奄美市名瀬の65歳の女性は、「国の借金がいつまでも、あってはいけない。(増税分は)しっかりとした目的に、使ってもらいたい」と増税に理解を示した。引き上げ後について、「何とかやりくりするしかない。必要なものしか買わない。プランターや家庭菜園を使い、自分で野菜をつくるようにする」と話した。