奄美市で離島物価問題懇

「離島物価問題懇談会」で石油製品油槽所を視察した

物価高による日常生活の厳しさ訴え
事業所と住民が意見交換 地元産品購入に理解も
大島地域 県平均より約20ポイント高く

 離島における生活関連物資の価格動向や流通事情について事業者と住民が意見を交わす、2018年度「離島物価問題懇談会」(県消費者行政推進室主催)が6日、奄美市名瀬長浜町の奄美文化センター会議室であった。出席した地元事業者は「輸送コストを商品価格に転嫁せざるを得ない」と理解を求めた一方、住民側は「子育て世代は値段重視」「消費税増税を控え、生活はいっそう厳しくなる」など物価高による日常生活の厳しさを訴えた。

 物資の提供者と消費者がそれぞれ物価問題について認識を深め、相互理解を図る目的。県内離島2地域(大島、熊毛)で輪番開催され、同市名瀬地区は14年ぶり。湯田平哲郎・県大島支庁総務企画課長は「物価は暮らしに密着しており、住民の関心も高い。交わされた意見は今後の施策の参考にしたい」とあいさつした。

 この日は、事業者代表として県石油商業組合や給油所、商工会など5団体。消費者代表として町内自治会や地域女性団体連絡協議会など8団体、県・市行政担当者が出席。懇談会を前に市内の小売スーパー、石油類の流通拠点となる油槽施設を視察した。

 意見交換で事業所側は「物流や燃料は景気に左右され、さらに輸送コストを上乗せした価格設定にならざるを得ない」(石油商)、「サトウキビなど農業産品は天候の影響もあり安定供給しにくい」(金融)など離島ならではの事情を説明した。

 それに対し消費者代表からは「子育て世代は値段重視」「地元品の地産地消を心掛けたいが本土の安い製品を見ると・・・」―などと述べた半面、「地元店舗が経営維持できるよう、多少高くても地元産品を購入する意識を持つべき」と事業所側の事情に理解を示したほか、一次産業への行政支援を促す声も挙がった。

 また県担当者が県内小売店61店舗(うち大島地域14店)で扱うガソリンや日用品、生鮮3品など18品目を対象に実施する調査結果を報告。17年度地域差指数(鹿児島地域を100)によると大島地域は、石油製品や生鮮・加工食品で2~4割高く、総合で124・9(県平均104・7)。過去5年間の県平均との開きは約20ポイント高く推移している。また、現在奄美では高止まりが続くガソリン価格推移についても報告され、過去2年間で大島地域のレギュラー1㍑当り現金価格平均は最高171円(今年7月)、最低146円(16年10月)とした。

 開催地を代表して朝山毅市長は「離島域で輸送コストの課題は重要。エネルギー価格の安定のため、国や関係機関に行政支援の継続を求めたい」と述べた。