8年ぶりの葺き替え作業

8年ぶりの葺き替え作業

8年ぶりに行われている8本柱の高倉の葺き替え作業で、屋根の骨組みにマカヤを均等な厚さになるよう取り付け(21日、龍郷町浦)


屋根の葺き替えに自生のマカヤとススキを刈り取り約2千束が集められた

年内終了予定 珍しい8本柱の高倉
龍郷町とおしめ公園

 来年3月末の完成目指し整備の進む龍郷町浦のとおしめ公園で今月初旬から、8年ぶりに珍しい8本柱の高倉の葺き替え作業が進んでいる。葺き替え作業の経験がある町内業者が担当し、自生のマカヤとススキを用いて年内の作業終了を予定している。

 同高倉は1992年2月に建立。テニスコートや補助グラウンドに隣接し、施設利用者や町民などが休憩したりする憩いの場として活用されてきた。

 同じ公園内に設置されている高倉3棟は大正前期~昭和前期ごろに建てられていて、2009年に国の有形文化財に登録されている。それらは4本柱で、柱と柱の間隔は、約2・2~2・5㍍。

 今回葺き替えしている高倉は8本柱と珍しく、町内に残存する高倉の大半は4本柱。

 前回の葺き替え作業から8年余りが過ぎ、茅葺き屋根が老朽化し東側は穴が数カ所空いた状態。同町建設課が高倉などを地域住民が憩う場や人が集まる公園として整備するのに合わせて、移設と葺き替え作業を実施することになった。

 葺き替え作業を担当するのは、高倉の葺き替え技術を父親から受け継ぐ同町大勝の中村工務店・中村博志さん。これまでに大和村の県指定文化財・群倉=ぼれぐら=や、鹿児島市の奄美の里内にある高倉の葺き替えなどを経験している。

 中村さんによると、「マカヤの上にススキをかぶせる形での作業。内側にある傷みの少ないマカヤは再利用するものも多いが、ススキは全て取り換える。屋根に使用するマカヤとススキは合計で約2千束。今月初旬から作業に入り、現在は半分ほど葺き終わった」と説明。同高倉の葺き替えについて、「こんなに大きい高倉の葺き替えは初めて。年内作業終了を予定しているが、天候によっては年明けになるかもしれない」と話した。