県民連合県議団は護岸工事を計画する嘉徳海岸を視察した
「工事の進め方を議論したい」
県が進める瀬戸内町嘉徳海岸の侵食対策事業を巡って住民意見が二分しているのを受け、県民連合県議団が31日、奄美大島入りし、現地を視察した。県大島支庁の事業経過や住民から意見などをヒヤリング。事業を所管する県議会企画観光建設委員会委員の福司山宣介県議は「今後の委員会の議論の中で、確認した内容を反映させたい」との意向を示した。
この日は福司山県議、上山貞茂県議が来島。関誠之奄美市議ほか関係者とともに、工事に反対する嘉徳住民の松本晋平さん(43)の案内で、侵食が深刻化した3年前に設置された大型土のう袋、アダンなど樹木の現在の状態について説明を受けた。
同海岸は2014年に接近した台風の高波で、集落墓地前の高台砂丘が侵食。土のうで対処したものの家屋や畑への安全を懸念した住民からの要望で県は対策事業に着手した。
しかしその後、流出した海砂は回復傾向。松本さんは2段以上積み重ねた土のう袋が埋没している現状を指摘。侵食の恐れは見られないとして、県議団に工事の必要性に異議を唱え、環境保全を訴えた。
事業計画は当初延長530㍍、高さ6・5㍍のコンクリート製護岸を設置。17年度着工を目指していたが、一部住民や団体からの反対意見で県は検討委員会での検証を踏まえ、工事規模を約3分の1の縮小見直しを図った。
県議団は自然保護、災害対策、地元の合意形成など総合的な判断を踏まえた事業進行を重視。上山県議は「集落に近いエリアの護岸は必要。反対意見を直接聞くことが出来たことは意義があった」と述べた。それに対し松本さんは「多くの関係者に実際に現状を見てもらい、今後の進展を判断してほしい」と話した。