クロウサギ死骸さらに4匹

犬が襲撃したと見られるクロウサギ計4匹の死骸が再び見つかった徳之島町母間地区=28日午前(写真は第1発見地の畑)

〝犬の襲撃被害〟続発
徳之島町母間同一エリア 画像や足跡も

【徳之島】国指定特別天然記念物アマミノクロウサギ4匹の死骸が26日に確認され、関係者に衝撃を広げたばかりの徳之島町母間の果樹園など同一エリアで28日午前、新たに計4匹の死骸の確認が相次いだ。計8匹はいずれも成獣。原因不明の1匹以外は、犬の襲撃とみられる深い犬歯状痕で共通。監視カメラには因果関係は特定できないが犬の映像も。関係機関は捕獲箱の増設など対策を強化した。

場所は、井之川岳(645㍍)東側の中山間地域にタンカン園などが広がる26日と同一エリア。27日午前7時ごろ車で畑に向かっていた地元の農業男性が、母間線刻画遺跡近くの飼料畑(裸地)で死んでいたクロウサギ1匹目を発見。連絡を受けた県希少野生生物保護推進員の池村茂さんらが確認。死体の近くには、犬のものとみられる足跡も確認された。

その後、関係機関やNPO法人徳之島虹の会など関係者で一帯を点検した結果、直線で約700㍍離れたタンカン園内2カ所と、同園地進入路で次々と死骸を見つけた。

これら個体の中には体長約50㌢級の大型や、足首だけが白く「白タビ」と呼ばれる珍しい個体も。26日分同様、すべてが成獣(オス1匹、メス3匹)。死後2日以上とみられ腐敗が進んだ1個体は「原因不明」としたが、残る3匹は26日分の4個体同様、犬が襲った可能性が高い「犬歯」状痕の深い傷があった。関係者は「空腹による捕食ではなく、本能的に襲って楽しんでいる可能性も」との指摘も。

26日以降、犬用捕獲箱(2基)とともに設置した自動撮影カメラのうち2地点の画像データでは、27日午後9時~同11時20分ごろにかけて、現時点で因果関係は不明だが、白い犬の姿が捉えられていた。

徳之島保健所と徳之島町当局は同日夕までに、捕獲箱を計5基に増設。同保健所の担当者は「効果的な場所に設置するとともに、犬の放し飼いの防止など啓発にもっと力を入れたい」。町側は「カメラも増やし、犬のフンも探して何を食べているのかも調べたい」。

同環境省徳之島管理官事務所の沢登良馬国立公園管理官(28)=獣医=は、狭いエリアで相次ぐクロウサギ滅失(25日確認の交通事故死1匹含め4日間で計9匹)の状況に、「徳之島は個体群が少なく、このようなインパクトがあるとクロウサギ全体の生息にも影響しかねない。環境省としても関係機関と連携。林道も含めた夜間パトロールで犬がいないかなども確認したい」とした。