負傷クロウサギを保護・搬送

交通事故で負傷したとみられ、保護・搬送されたクロウサギ (環境省徳之島保護官事務所提供) =9月30日午前9時すぎ

「1匹でも多く助かって」
徳之島町北部 県道、交通事故か

 【徳之島】30日午前7時ごろ、徳之島町北部の手々―金見集落間の県道の路上で、顔などから血を流してうずくまっていた国指定天然記念物アマミノクロウサギ1匹が見つかった。通報で環境省徳之島保護官事務所が保護。島内の動物病院で処置後、奄美大島の獣医師のもとに同日中に搬送し、治療を委ねた。

 同町手々の農業男性(65)が、通称・長浜の県道区間を車で走行中に、路上のわきで動けなくなっていた若い亜成獣の個体(全長約30㌢)を発見。連絡を受けた徳之島地区自然保護協議会の政武文会長(67)=手々=を通じ、環境省同事務所の沢登良馬国立公園保護官(28)らが保護して同町内の動物病院へ。

 同エックス線検査など処置の結果、腹部など内臓損傷や四肢の骨折などはなかった。しかし頭部を強打したとみられ、鼻など顔面から出血。うなだれたまま身動きしないため、同日夕の定期船で同夜、野生動物の治療経験が豊富な奄美大島の獣医のもとに搬送した。

 徳之島におけるここ数年間のクロウサギ負傷個体の保護例では、▽2012年2月、同町手々でノイヌに襲われたとみられる幼獣1匹を政さんが保護し、療養後自然界へ▽15年12月、同町母間の農道で交通事故とみられる幼獣1匹があご骨折など重傷を負い、奄美市内の動物病院を経て、平川動物公園へ移送―がある。

 今回のケースに、政さんは「犬によるとみられるショッキングなケース(計8匹の死骸発見)が相次いだだけに、1匹でも多く助かって欲しい」。環境省の沢登保護官も「治療をして元気にして元の場所、自然界に帰したい」と話した。