独創性富んだ手作り〝イカエギ〟

店内に並ぶエギコレクションと山本さん(楕円内は山本さんお気に入りの龍郷柄のエギ)

古仁屋の山本さん 大島紬の柄も

大島紬柄や、漆塗り、無垢材に焼きを入れたものなど…。瀬戸内町古仁屋の釣具店「リバティーオーシャン」の店主・山本一彦さん(47)は3年ほど前から、独創性に富んだ“イカエギ”を手作りしている。「出来上がったときの流線形の形がかっこいい」とエギ作りの魅力を語る。

島内産の木材を使用し、エギを作っている人がいると知人から聞いたことがきっかけ。大島紬の有効活用を視野に「実用とはかけはなれたお土産品」の位置づけで、近隣の洋服店から分けてもらった紬の端切れを使ったエギ作りを始めた。

山本さんによると、エギは奄美発祥との説があるほか、西郷隆盛が沖永良部島の座敷牢で手作りしたエギも現存しているほど奄美と縁深いものという。山本さんは「この辺りの発祥と聞いたときは驚いた。奄美のすごさを改めて実感できる」と話す。

エギ作りは店の仕事の合間を縫って実施。長い日では1日に5~6時間も作業することも。1本1本順番に作るわけではないが、木の切り出しから完成までは1年ほど要するそうだ。「『ここまで作ってきたからには続けないと』と思って作っている。もっと精度を高め、できるだけ左右対称に近づけたい」と意気込みもばっちり。

作業中、観光客などから声を掛けられることもあるそうだが、残念ながら山本さんのエギは今のところ非売品。「今後、販売も予定しているが、時期は未定」と笑った。