群島内4町村で学校再開

前田校長が校門に立ち、2週間ぶりに登校する子ども達を出迎えた(田検小)

児童同士の間隔が1㍍以上空くように机の配置が帰られた教室で朝礼を行う子ども達(田検小)

2週間ぶりの学び舎に笑顔
保護者から感謝の声も

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため全国的な休校措置が続く中、奄美群島内4町村で16日、小中学校が再開した。また、奄美市など5市町村では同日を臨時登校日とし対応。学校再開となった宇検村では早朝から子どもたちが校門をまたぎ、久々の学び舎に笑顔を咲かせ、元気な声を響かせた。

 16日から小中学校を再開したのは、▽宇検村▽和泊町▽知名町▽与論町―の4町村。県内でも同日から学校を再開させたのは同4町村のみだった。▽奄美市▽龍郷町▽瀬戸内町▽大和村▽喜界町―は16日を臨時登校日に設定。臨時登校とした市町村は、17日以降再び休校とし、23日に再開を予定している。この日は、教諭らが児童生徒の健康状態や学習状況の把握に努めたほか、課題の配布や休校期間中の過ごし方などを再確認した。

 再開した宇検村の田検小学校(前田和洋校長、全校児童52人)では午前7時過ぎごろから子どもたちが校門をくぐり始めた。恒例となっている前田校長とのハイタッチは、感染への配慮からやむを得ず“肘タッチ”に。登校後の子ども達が校庭で縄跳びやランニングをし、元気に遊ぶ姿が見られた。朝礼の健康観察で「はい!元気です」の声を響かせた後に、朝礼で校歌を高らかに歌った。

 小学校5年生の時田小羽さん(11)は「2週間友だちに会えていなかったので、家であったことなどをたくさん話したい。(休校中は)家でずっとゴロゴロしてしまった。学校の方が勉強もはかどる」。同じく5年生の峯京太郎君(11)は「ずっと家にいると、つまらなくて逆に疲れた。6年生と最後の遠足などが中止になって寂しかったが、またみんなと会えるので楽しみ」などと喜んだ。

 同校では感染対策として、教職員・児童全員のマスク着用を呼び掛け、手洗いうがいや換気を徹底。玄関と各教室前には消毒液を用意している。時間割の変更等はなく、学習については休校中に課した課題を確認しながら未履修分野を減らす方針を取る。前田校長は「子どもたちが校門から入ってくる姿を見て感無量。村教委の英断に感謝し、安全対策を徹底したい」と語った。

 宇検村教委によると、▽村内に学童施設がなく保護者負担が大きい▽未履修分野をできるだけ減らしたい▽全小中学校で児童生徒間の間隔を1㍍以上確保できる―などの理由から再開を決定。グループ学習を控え、給食時間も向かい合った座席配置にしない、休み時間中の密集した遊びを避けるなどの感染対策を呼び掛ける。授業時間の延長などは、学習の進ちょくに応じ、各校の判断で決定する。

 県内で感染者が発生した場合は翌日の午後から再び休校とする措置も決定済み。また、卒業式・修了式の規模縮小や健康観察で具合が悪そうな児童生徒がいた場合には帰宅させるなども行う。

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 保護者からも学校再開について、「ありがたい」との声が聞かれた。小3の長女を持つ女性(46)は「休校期間後半の1週間は、羽=はね=クラブ(保護者有志による子ども見守り所)が再開したので、そこで過ごさせた。他市町村が延期する中、再開してもらって本当にありがたい」。小3と小1の長男・次男を学校に通わせる男性(37)は「ずっと家にいると、だんだん学校に行きたがるようになっていった。県内で感染者が出ていないので、子ども同士が集まることに不安はない」と話した。

 また、羽クラブの中田美幸事務局長は「他市町村は休校中なので不安もあるが、再開に感謝」とする。羽クラブは同村湯湾の古民家を使用し開園するが、休校措置開始後に一時閉鎖。村との協議の上9日から、村総合体育館で再開し、1日7~8人が利用した。中田事務局長「羽クラブがないと休校になったときに子どもの預け先がなくなるので、県内で感染者が確認されて再び休校になった場合も活動できるように村に要望するつもり」とした。