新型コロナウイルスの影響で県内小・中・高校などの臨時休校措置が続く中、約2週間が過ぎた。一部学校では授業を再開したが、奄美群島の9市町村が22日までの休校延長を決定。自宅で過ごす子どもも多いなか、見逃したくない子どものストレスのサインや解消法などについて、龍郷町スクールソーシャルワーカーで公認心理師(国家資格)の水野泉さんに聞いた=写真=。
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―子どもたちの現在の状況をどう感じるか。
SNSなどひっきりなしに情報が入る時代に、不確実な敵と感じているのではないか。惑わされやすい年ごろ、(保護者などは)シンプルに正しい情報を伝えてほしい。
―ストレスを感じている状態とは。
普段より甘える、ケンカが増えるなど。まとわりついて離れないのもストレスが溜まっている証拠。そんな時はいったん手を止めて、話を最後まできちんと聞いてあげることが大切で、子どもの話を遮らず受け止めてほしい。
―ストレスの兆候が見えたら。
ストレスの解消にはまず、規則正しい生活リズムを整えてあげることが大事で、特に「朝ご飯」。子どもが朝起きたら、まず朝ご飯を食べさせる。体内時計がリセットされることで、早寝早起きや勉強など、一日の流れにつながる。
―家庭や親子でできることは。
親子で買い物に行って、一緒に調理する。テレビを消して、食べ物の素材を味わうだけでもいい。ストレスは交感神経が作業モードで緊張状態にあること。野菜を切る、果物の匂いを嗅ぐなど、意識を違う方向に逸らしてあげるだけでも、緊張を和らげることができる。
―保護者にもアドバイスがあれば。
親が不安だと子どもも不安。子どもは弱者で、大人がまずリラックスしなければならない。また、子どもは自身でアイデアを出そうとする傾向もある。休校期間は子どもたちの才能を伸ばすための時間と捉えて、自由なチャレンジを温かく見守り、ストレスをほぐしてほしい。
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水野さんは現在、スクールソーシャルワーカーの傍ら医療や福祉、企業の現場などで実践される「マインドフルネス」教室・奄美家族と子どもカウンセリングAFCCを主催。マインドフルネスとは、
「〝今ここ〟にただ集中している心のあり方」のことで、最新の脳科学で「ストレス軽減」「集中力アップ」「自律神経回復」などへの効果、うつなどの精神疾患への効果が実証されている。
この観点から水野さんは気分転換の方法として、▽お風呂にゆっくり入る▽ラジオ体操やダンスなど体を動かそう▽手芸、制作、片付けなど普段できなかったことをやってみよう▽散歩に出て海で波の音など耳を傾けてみよう▽不安な時は、ゆっくり深呼吸をしたり、クッションを抱きしめたりしてみよう―などアドバイスしている。(青木良貴)
【メモ】アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院修了。公認心理師。日本家族と子どもセラピスト学会、日本マインドフルネス学会、日本心理臨床学会正会員。2019年に龍郷町に移住し、同9月から同町スクールソーシャルワーカーに就任。