8月末まで延伸

新たに製作された2基のケーソン

台風被災により復旧工事が進められている名瀬港の沖防波堤

名瀬港沖防波堤復旧工事 2基のケーソン完成

 国土交通省九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所は、2018年9月の台風24号による高波などで被害を受けた名瀬港・沖防波堤の復旧工事を進めている。当初は今年3月末までの工期を予定していたが、冬場の海上条件で作業困難な時期が続き、工期は8月末までに延伸された。

 全長700㍍の沖防波堤は、名瀬港の高波対策として整備。13・7㍍の高波を想定し、1基当たりの重さが約4千㌧(中詰め材を含めると約1万㌧)、高さ約20㍍、幅約19㍍、奥行き約16㍍ある巨大な鉄筋コンクリート製のケーソン41基をつなぐように設置している。

 ところが非常に強い台風24号により、沖防波堤のケーソン11基が滑動・転倒・破損するなどの被害が発生。原因として沖防波堤に設計を超える波浪が来襲(15・5㍍の高波と推測)、設計以上の波圧が生じたことに加え、潮位上昇に伴う揚圧力(浮力)の増加で抵抗力の減少が生じたことで、ケーソンが被災(滑動・転倒)したとみられている。

 堤防東端に近い2基のケーソンが大きく動いたり、水没するなどしたほか、6基がわずかに動くなどした。事業費約43億円を投入しての復旧工事は昨年6月から実施。ケーソン2基を撤去して新設し、残りの6基については後方部の海底に石を積み増しての補強とともに、ケーソンのスリット部分に新たにコンクリートを流し込むなどしての補強を計画した。

 名瀬出張所によると、工期中の冬場は、海上の波浪による越波などで施工作業ができない日が続き、この影響で工期を8月末終了予定と延伸。一方、被害を受けたケーソンは2基の製作が完了し、現在、長浜地区の仮置き場に置いてある。4月中に沖防波堤まで移動させ、ケーソンを据え付ける予定という。新型コロナウイルスの影響として建設・建築現場では原材料などが調達できない事態が起きている。沖防波堤復旧工事の場合、「原材料は島内産の石がメインのため支障ない」(名瀬出張所)としている。