地下ダム中央管理所落成式 2町つなぐ象徴に

関係者らがテープカットを行い、中央管理所の完成を祝った=知名町=
看板を除幕した沖高書道部の前田真空さん(左)と障がい者就労支援施設「さねん」の弘野太介管理者(右)=知名町=

島の農業発展願う
木彫りの看板もお披露目

【沖永良部】地下ダムの建設が進む知名町で26日、国営沖永良部農業水利事業中央管理所の落成式が行われた。関係機関から約30人が参加。地元事業者が制作した木彫りの看板の披露とともにテープカットを行い、島の将来を支える新たな農業施設の完成を祝った。

施設は、沖永良部高校近くの県道沿いに建設。鉄筋コンクリート造2階建てで、建築面積218・25平方㍍、延べ床面積416平方㍍。設計費などを含む建築費用は3・4億円。昨年6月に着工し、今月16日に完成した。

1階は、地下ダムの貯水量や揚水機場の稼働状況などを遠隔監視する水管理施設監視・制御室となっており、今後、機材を整備し、試験運転などを行う予定。2階は会議室と書庫。駐車場は普通乗用車40台分を確保し、電動シャッター付きの車庫(車両3台格納可)も整備した。

現地で行われた式典では、九州農政局沖永良部農業水利事業所の馬場範雪所長が「中央管理所は、地下ダム事業において要となる施設。島全体に過不足なく水を配水し、和泊と知名の両町をつなぐ象徴の建物になるだろう」とあいさつ。

知名町の今井力夫町長は「地下ダムが完成すれば、両町の経済を潤すことができる。欲しい場所に、欲しいな時に配水できるような施設になってほしい」と期待を込めた。

看板のお披露目もあり、文字を担当した沖永良部高校書道部の前田真空さん(2年)と、彫刻を請け負った障がい者就労支援施設「さねん」の弘野太介管理者の2人が幕を下ろした。

看板の大きさは縦2・2㍍、横50㌢ほど。屋久杉の一枚板が使われている。

前田さんは「貴重な体験をさせてもらった。この経験を生かして地域のボランティア活動などを積極的に行いたい」と述べ、書体については「地下ダムの格好良いイメージをそのまま文字にした」と話した。

弘野管理者は「戸惑いや試行錯誤を繰り返しながらの制作だったが、高校生の力強い書体と事業に関わった人たちの思いに後押しされた」と作業工程を振り返った。

馬場所長や施工した(株)宗岡組の宗岡悦志社長ら7人でテープカット後、島の農業発展を願い参加者全員で万歳三唱した。

施設内には、島内の子どもからお年寄りまで合計550人が関わり制作した地下ダムのジオラマも飾られている。