奄美群島で唯一、県の指定医療機関になっている奄美市の県立大島病院
1日に和泊町で新型コロナウイルスの感染者が確認されたのに続き、奄美大島でも17日、2人の感染が明らかとなった。県内での感染者6人のうち、3人が奄美群島での感染となり、医師の数や病床数が限られ、高齢化率が高い離島地域での医療体制の構築が課題となっている。県健康増進課は「指定医療機関がなく脆弱な医療体制の離島では、感染者を出さないことが重要」としたうえで、「限られた医療資源を最大限に活用できるよう医療従事者らとの情報共有に努めたい」としている。
県が定めた「新型コロナウイルス発生時の体制」によると、県内で感染が確認された場合、県内13カ所の感染症指定医療機関の感染症病床(計45床)に収容し、それ以上の感染者が出た場合は結核病床を使用することになっている。
奄美群島の指定医療機関は奄美市の県立大島病院のみで、感染症病床は4床のみ。結核病床(15床)を合わせても計19床で、県健康増進課の亀之園明課長は「結核病床が常に空いているとは限らない。その都度、どれだけの病床が利用可能か、医療機関と連絡を取り合いながら、医療体制の確保に努めていきたい」としている。
指定医療機関がない奄美大島以外の離島での対応も課題となっている。実際、和泊町で感染者が発生した際は、感染者は指定医療機関以外への入院を余儀なくされた。
県は現在、県内での感染拡大に備え、患者の受け入れ可能な病床数を増やすことを検討。さらに軽症者などについては、県が指定した宿泊施設などに隔離する方針で、準備を進めている。
奄美市の朝山毅市長は、市内で感染者が出たことを受け、感染拡大に備えた島内の医療体制確保を県に要請することにしている。
人工呼吸器などの医療器具や医療従事者の人数なども限られているが、亀之園課長は「各離島の保有台数や医師の数なども把握しており、必要に応じてしっかりと対処できるよう準備している。ただ、医療資源には限りがあり、まずは感染者を出さない取り組みが必要」などとし、密閉、密接、密集の3密を避けるなどの予防対策を求めている。