しまバス財政支援要請

新型コロナウイルスの影響で利用客が減少しているしまバスの路線バス

新型コロナ影響
貸し切りキャンセル、路線バス利用客減

 奄美大島一円で路線バスを運行する㈱しまバス(本社・奄美市名瀬)は28日、新型コロナウイルス感染症が全国に拡大している影響で、貸し切りバスや路線バスの利用客が大幅に減少していることから「会社存続の危機」にあるとして、島内の路線バス事業の存続に関する要望書を奄美市に提出した。大幅な赤字拡大が見込まれる路線バス事業への財政支援などを求めている。

大幅赤字拡大見込み 「会社存続の危機」

 要望書では、新型コロナウイルスの影響で、観光客の減少や学校行事の中止などにより貸し切りバスのキャンセルが相次いでいるほか、住民の外出自粛や航空便の減便などにより路線バスの利用客も減少、国や県、市などによる補助金収入を含めても、「最終収益が大きくマイナスになるのは確実」という。

 このため同社は①全社員対象に5~9月の給与最大50%削減と夏季賞与の削減②路線バスを減便し、運転手等の人件費及び燃料費など運行経費を削減③利用客が少ない路線の廃止検討―を行う方針を示した。

 同社の勝村克彦社長代理は「創業以来、最も深刻な経営危機に直面している。公共交通機関として島内唯一の路線バスを何としても守るため、社員の給与カットなど身を切る覚悟で臨んでいるが、民間企業の努力だけで乗り切ることは難しい。このままでは赤字路線の廃止も決断せざるを得ない」と、厳しい経営環境にあることを訴え、「現路線を維持するためにも、廃止代替路線バスにかかる赤字補てん補助金の増額など、財政的な支援をお願いしたい」としている。

 同社によると、路線バスの利用客の減少により、4月の1日当たりの運賃収入が約10万円減少、貸し切りバスも2~9月までのキャンセルで約5600万円の減収となっているという。