10万円の支給を受ける住民ら(大和村大棚集落)
新型コロナウイルスの緊急経済対策として、国民すべてに現金10万円を一律給付する「特別定額給付金」の支給が8日、大和村で始まった。奄美群島の自治体としては最も早く、支給を受けた住民らは「こんなに早く支給されるとは思っていなかった」「手続きも簡単で、大変ありがたい」など、現金を手に喜んでいた。
同村は申請と給付を一括して行うことで、支給のスピード化を図った。同日午後から村内11集落のうち10集落に職員が出向き、給付を受けるため集まった住民から、名前や生年月日、住所などを聞き取り、本人確認したうえで封筒に入った現金を手渡していった。志戸勘集落(6世帯)は職員が直接訪問し給付した。
大棚集落(148世帯、247人)では、午後1時ごろから、住民らが会場となった大棚公民館前に次々と訪れ、手続き開始前には7、8人の列をつくった。10万円の入った封筒をうけとった中チカ子さん(85)は「こんなに早く受け取ることができて大変ありがたい。マスク代も高くなっているので、困っていた。生活費に充てる予定だが、買い物なども楽しみたい」と話し、久保鉄矢さん(84)は「面倒な手続きもなく、簡単に受け取ることができて良かった。使い道はこれから考えたい。これだけまとまったお金を受け取ることはあまりないので、大切に使いたい」と話した。
この日、同集落では116世帯が給付を受けた。同集落の伊集院将区長(32)は「コロナウイルスは小さな集落にも影響を及ぼしており、生活に不安を感じている住民も多い。大半の住民が現金給付を受けたことで、生活にも余裕が出てくるはず」と話した。
同村では、仕事などの都合で現金を受け取れなかった村民については、9日以降、役場窓口(村防災センター)での申請、給付を行うほか、役場への訪問が難しい人や銀行口座などへの振り込み希望者には郵送での申請も対応する。
給付金は住民基本台帳(4月27日時点)に記載されている住民を対象に、各自治体で申請、給付が行われる。マイナンバーカードを使ったオンラインと郵送による受付が行われる。郵送での申請は、各自治体から世帯ごとに申請書が送付され、給付対象者と振込先の口座番号を記入、免許証など本人確認用の書類などを添付し返送する。その後、各自治体から指定口座に現金が振り込まれる。
宇検村など多くの自治体が5月中旬から下旬にかけて給付が始まる予定となっている。奄美群島で最も人口の多い奄美市(約4万3千人)は、事務処理などに時間を要することもあり、郵送での申請者への給付は6月中旬になる見込み。