佐野院長から講義を受ける指導員ら
熱心に質問する指導員ら
奄美市名瀬小浜町のあおぞら児童クラブ(川内美和子会長)で9日、同市の児童クラブの指導員らが集まり、新型コロナウイルスに関する勉強会を行った。記念クリニック奄美の佐野常男院長を講師に迎え、コロナ感染症の性質と予防の原則を学んだ。質疑応答の時間では学童保育の現場ならではの実践的な質問が飛び交った。佐野院長は「コロナとの戦いはこれから。認識を変え、頭を柔らかく」と呼び掛けた。
同勉強会は、同市の児童クラブ(10カ所)から指導員らが最低1人ずつ参加して行われた。笠利町の赤木名放課後児童クラブの保護者の提案から実現した。約2時間にわたる勉強会のうち、前半は「コロナウイルス感染症を知ろう」と題して症状や死亡率、ウイルスの生存時間、感染経路などを学んだ。
同感染症における0歳~19歳の入院率は約1・6~2・7%。学童期の児童でも重症化する危険があり、油断できないと佐野院長は強調する。児童らが使用するプラスチック製の遊具などには、ウイルスが付着すると72時間生存する。
後半では、「感染予防策」と題して、接触感染と飛沫感染を防ぐ方法を学んだ。接触感染を防ぐには▽手指消毒▽環境消毒▽顔を触らないーことが必要。児童らへの手洗い指導、ドアノブなどの「高接触部位」の消毒が求められる。帰宅後に顔を洗わせることも有効だという。飛沫感染対策としては、マスク着用と3密を避けることが必要。
質疑応答の時間では指導員らから次々に質問が飛び出した。「児童らへの検温はいつまで行うべきか」「児童の切り傷やアトピーの傷から感染する危険はあるか」「体温が高めの児童はどこを判断基準にすべきか」など学童保育の現場ならではの質問が多く挙がった。中には「児童らが遊ぶ中で密接を防ぐのは難しい」と悩みの声も。
佐野院長は「これまでとは認識を変える必要がある。予防の原理・原則をもとに、頭を柔らかくして応用を」「理想通りの予防策が取れなくてもセカンドベストを模索していく必要がある」とアドバイス。「このままコロナは終息していくと思われがちだが、緊急事態宣言が解除されれば奄美でも流行する。コロナとの戦いはこれから。お互いの助け合いが大切」と激励した。
赤木名放課後児童クラブの松中幹子指導員は「高接触部位を意識した遊具や本の消毒方法など、勉強になった。コロナの流行で衛生観念が高まり、インフルエンザの感染が減少した例から見ても、予防がいかに大切か分かった」と話し、「大切なお子さんを預かるうえで気を付けていく」と決意を新たにした。
各団体などへも無償で個別訪問を実施。問い合わせは「記念クリニック奄美」電話0 997―55―2271。