オンライン申請は少数派

現金一律給付のオンライン申請画面

奄美の自治体で実施も 書類待ちが主流
10万円一律給付

 新型コロナウイルスの経済支援策として、1人当たり10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請が今月1日から開始している。奄美では、12日までに大和村以外の奄美群島11市町村が可能となった。マイナンバーカードが必須だが、群島全体の交付率は2割に満たないためオンラインによる申請者は実際には少数派。現金給付の手続きは、5月中に送られてくる自治体からの申請書類を待つ動きが主流となっている。

 給付申請は原則、郵送かオンライン(インターネット)で行う。オンライン申請は書類到着前に手続きできるメリットに注目を集めたが、手続きを進める際、多少のハードルがある。

 前提としてマイナンバーカードの所持、同カードの暗証番号(6~16桁)の入力が求められる。新規カード取得は1~2カ月掛かり、さらに番号忘れや、誤入力を繰り返したことで入力不可となると行政機関での再設定が発生。その上で「ICカードリーダーを接続したパソコン」、「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」が必要となる。

 すでに現金給付を実施した大和村以外、5月中の実施を目指す奄美の11市町村はオンライン申請に対応済み。ほとんどの自治体が近いうちに書類を全戸配布し、月末までに給付開始ができるよう手はずを整えている。

 群島自治体のマイナンバー交付率は奄美市(20・7%)を筆頭に概ね10%台にとどまっている。交付率がそれほど高くない状況から、自治体担当者は「受け取り短縮のメリットを享受できる住民は少数」と指摘する。オンライン申請に伴う手間を考えると申請手段は書類郵送となるだろう。

 オンライン申請について住民の反応を聞いた。奄美市内の男性会社員(50)は「マイナンバーがあるので、自宅のパソコンで手続きを進めたが機器の購入が必要なので諦めた。急ぐ要件ではないので書類郵送にしたい」。瀬戸内町の女性(32)は「スマホは読み取り用アプリが必要と聞いたがよくわからない」とそれぞれ話した。

 給付対象者数が最も多い奄美市(4・3万人)は書類発送が下旬で、給付実施も6月に入る。12日、マイナンバー再設定数は14件に上っており、オンライン申請のためと思われるが、群島の中では例外的と言えそう。同市は、問い合わせの集中を懸念し、問い合わせ先を別途設けるなど申請に特化した対応を今後検討する方針だ。

 各自治体に寄せられた申請に関する問い合わせは日に日に多くなっている。その一方で「マイナンバーがないと申請できないのか」「役場に申請書を持参したらいいのか」―など高齢者が誤った認識で相談するケースも少なくない。またオンライン申請の説明を電話口での説明も困難なため、ほとんどの自治体は「書類郵送の原則を粘り強く説明している」とした。