描くことをもっと身近に、自由に

奄美大島で生活する画家・絵本作家のミロコマチコさん

デビュー作『オオカミがとぶひ』第18回日本絵本賞大賞受賞

奄美で感じたことを描いた絵本『ドクルジン』(亜紀書房)

奄美で暮らす中で起こった変化
画家・絵本作家ミロコマチコさん

 大阪府出身。2012年、『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で絵本作家としてデビューし、第18回日本絵本賞大賞を受賞するという鮮烈なデビューを飾ったミロコマチコさん。その後も主要な絵本賞の数々を受賞し、2013年5月にはTBSの情熱大陸にも出演して話題になりました。豊かな色彩で生命力あふれる動植物を描き、国内外で展覧会を開催、絵本制作、子どもを対象としたワークショップの開催、書籍やCDジャケットのイラストを描くなど、絵にまつわることで活動しています。

 東京で暮らしながら制作活動をしていたミロコさんは、約1年前に奄美大島に引っ越してきました。2017年の春に初めて奄美に訪れ、空港におり立った瞬間に直感で気に入ったそうです。「人も自然もすべてがよかった。ここでどんなふうに感じて、どんな絵を描くのか見てみたい」と思い移住を決めたといいます。その後は20回以上の来島を重ね、念願かなって2019年の6月に引っ越してきました。

 「生きものや植物をモチーフにしてきたのは、自分とは遠い存在であり、それらのように強く生きたいという『憧れ』みたいなものがあったから。自然との距離が近い奄美で暮らしたときに、実際の生きものを描かなくなってきた。生きものそのものよりも、目に見えない〝気配〟を描くようになった」。奄美での生活を経て、作品に変化が出てきたことを話してくれました。「サトウキビ畑のむこうにこんな生きものがいるように感じた…」などと想像しながら描いているそうですよ。

 ミロコさんの絵本は、大人が読んでも世界観や自由な表現にひき込まれます。ご本人も、絵本の面白さを再発見したのは大人になってからだそうです。
 「絵を描くことに正しいや間違いはなくて、たとえば黄色い花が赤色に感じたらそう描いてもいい。すごく簡単で、自由なんだって思ってもらえたらうれしい」。最後にミロコさんはアート活動の身近さを語りかけました。

 4月中旬には龍郷町戸口にあるこども図書館・放浪館でワークショップを開催する予定でした。子どもたちと長さ10㍍の紙に絵の具まみれになって絵を描くという何とも楽しそうなイベント。今回は新型コロナウイルスの影響で延期となったので、今後のお知らせを要チェックです。

 現在旦那さんとねこたち5匹(最近子ねこが1匹増えたそう!)と生活するミロコさん。お会いできた時は、個性豊かなねこちゃんたちの話も聞けるかも。

 絵本などの書籍は▽県立奄美図書館▽龍郷町立りゅうがく館▽瀬戸内町立図書館▽宇検村生涯学習センター図書室で貸し出し可能。