平均価格51万円まで下落

新型コロナウイルスの影響で、大島地区の5月子牛セリ市は平均価格が51万円台まで下落した(5月8日、徳之島中央家畜市場で)

大島地区5月子牛セリ
前回比11万円安、前年同月比では20万円安
事業活用「生産基盤整えて」

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は18日、5月の大島地区子牛セリ市結果をまとめ公表した。市況をみると、価格の総平均は51万3006円で、前回(今年3月)比11万5548円安、前年同月(2019年5月)比では20万5367円安まで下がった。14年11月の50万円に次ぐ(翌年1月は52万円)下げ幅。新型コロナウイルスが奄美群島内でも発生したことで、来島自粛判断から通常より購買者数が少なかったのも下落要因となった。

 5日の与論市場を皮切りに11日の喜界市場まで行われた今回のセリ市の入場頭数は1768頭(めす736頭、去勢1032頭)で、全頭数が売却された。

 平均価格は、めす45万2811円(前回比10万5015円安、18・2%減)、去勢55万5935円(同11万8205円安、17・5%減)となり、前回を2割近くも下回った。合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、笠利の54万3347円を筆頭に、瀬戸内、徳之島、喜界、沖永良部、与論の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価で市場を格付けすると、瀬戸内の1964円(キロ当たり)を筆頭に、喜界、沖永良部、徳之島、笠利、与論の順となっている。

 セリ日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、沖永良部255日、瀬戸内258日、喜界263日、徳之島263・3日、笠利265日、与論267日の順。

 今回のセリ市について奄美市駐在は、「緊急事態宣言発令の中であったが、5日の与論子牛セリ市から当初予定通りに開催することができた」と振り返る。生産者については、市場場内への立ち入り禁止や、購買者が下見の時間になったら、つなぎ場から離れて十分な距離を取ってもらうなど感染防止対策を優先し、通常のセリ市とは違った対応となったという。

 前回より10万円以上下落した子牛相場の要因について、▽新型コロナ感染拡大の影響で、牛肉需要期であるゴールデンウイークに消費が伸びなかった▽訪日外国人旅行者が減り、外食産業での消費が減っている―を挙げる。購買者の来島自粛も影響、「通常、各市場で30~50人の購買者がいるが、今回は1割程度少なかった」としている。

 枝肉消費やインバウンドでの需要が消費低迷前に戻るには、かなり時間がかかる見通し。奄美市駐在は生産農家に対し「肉用子牛生産者補給金制度(子牛生産の安定化)や生産基盤拡大加速化事業(繁殖めす牛増頭)など、多くの活用できる事業が構築されていることから、うまく活用し今後も長く畜産経営を続けてほしい」と呼び掛ける。子牛価格が下落するときには、枝肉重量の見込めないような子牛(多産牛、血統の古いもの等)は特に大きな下落幅となることから、資金に余裕のあるうちに事業などを活用し、「高値で取引されるような良い子牛が市場に上場できるように生産基盤を整えておく必要がある」と指摘している。

 各市場平均価格(めす・去勢合計)の前年同月比は次の通り。
 与論=21万9千円安▽沖永良部(1日目)=24万2千円安▽同(2日目)=20万2千円安▽徳之島中央(1日目)=19万6千円安▽同(2日目)=17万7千円安▽瀬戸内=20万1千円安▽笠利=17万3千円安▽喜界=18万7千円安