感染症対策で、避難所体制見直し

2018年8月の台風19号襲来時の市内の避難所の様子

台風シーズン控え 3密対策で予防チェックリスト作成

 新型コロナウイルスの影響が続く中、梅雨入りした奄美地方では、これから大雨や台風シーズンを迎えるが、災害が発生した際に、避難所での感染症対策をどう行うか、各自治体の対応が求められている。奄美市では、感染リスクを抑えながら、避難者を受け入れるため、避難所運営に関する予防対策のチェックリストを作成、マスクや消毒液を配備するなど対策を進めている。

 政府は4月、「避難所における新型コロナウイルス感染症へのさらなる対応について」として、県や自治体などに、避難所の過密を避けるため、可能な限り多くの避難所を開設することや、感染者が出た場合の対応などについて、事前準備を行うよう要請した。奄美市では、これを受け市内の避難所の運営方法などについて見直した。

 市が作成した予防対策チェックリストは▽開設準備▽避難所開設▽避難所運営―などの項目について、担当職員がすべきことを挙げ、開設準備としてマスク着用や避難所内の消毒作業などを指示している。

 避難所開設後については、発熱、咳などの健康チェック、島外からの旅行者などとの接触の有無などを確認。症状がある避難者は、市が保健師を配置する別の避難所に移動させるなどの対応を取ることにした。また、感染者が出た場合に備え、避難者の氏名や住所の聞き取り調査も実施する。

 避難所の運営では、手洗いやマスク着用など基本的な感染対策を徹底するよう要請するほか、3密(密閉、密集、密接)の防止策として避難者同士(世帯ごとに)の間隔を2㍍程度とることや定期的な換気などを行うことにしている。

 市総務課危機管理室によると、市内の避難所(風水害)は名瀬46、住用21、笠利41と福祉避難所などを含め計114か所あり、約2万人の受け入れが可能という。近年で最も避難者が多かった2018年9月の台風24号襲来時には、82か所の避難所に約270人が避難した。最も避難者が多かった避難所は、奄美高校の33人だった。

 市危機管理室は避難所について、「現状でも十分に足りている」としたうえで、「避難所の過密を防ぐため、親戚・知人宅に避難することも検討してほしい」などとし、避難する場合は、事前連絡を行うよう求めている。

 また、高齢者などの避難については、早めの対応の重要性を指摘、「日頃から自分の住んでいる地域の状況を把握し、危険を感じ場合は、ためらわず避難してほしい」と呼びかけている。