鳥の標本に触れて学ぶ子どもたち
ハヤブサの生体を観察する参加者らと伊藤獣医師(右)
奄美市名瀬古田町の県立奄美図書館で13日、第2回あまみならでは学舎が行われた。龍郷町の奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師が講師となり、「傷ついた野生動物を見かけたら」のテーマで講義を行った。参加者らは野生動物の救護について知識を身に付け、標本や生体を見て学んだ。
同講座には未就学児から高齢者まで、幅広い年代の71人が参加した。参加者らは新型コロナウイルス感染予防のため、マスクを着用し、席の間隔を開けて受講した。
講義では、伊藤獣医師が行っている野生動物救護について説明が行われた。奄美では鳥類を中心に年間約40件の野生動物が保護されており、回復して野生に帰ることができるものは3割以下である。
事故などで傷ついた野生動物を救護する際、「その動物の知識がなければ助けることはできません」と伊藤獣医師は語る。動物の習性を理解し、事故の原因特定と再発防止策を講じることが必要になる。
傷ついた野生動物発見した際は▽観察して、本当に保護すべきか判断する▽状況を記録する▽素早く箱に入れて収容する▽刺激を与えないように搬送する―などの対応が求められる。
連絡先としては▽奄美野生生物保護センター?0997-55-8620▽県大島支庁林務水産課?0997-57-7285▽各市町村▽各動物病院―などがある。自宅で飼育することは違法行為となる。
救護されても回復せず死亡する個体も多数を占める。しかし「『死』は終わりではありません」と伊藤獣医師。治療や死因についてのデータが得られ、標本など活用の道がある。
講義後半では、保護されて死亡した動物から作った標本に触れる時間が設けられた。参加者らは標本を手に取ってさまざまな角度から観察した。また、保護されたハヤブサの生体も公開された。
大島高校1年生の畠山葉生(はね)さん(15)は、新聞部の活動の一環でノネコ問題について取材するため受講したという。「ケガをした動物は助からないと思っていた。3割とはいえ野生に復帰できることを知り、明るい気持ちになった」と話し、講義後も熱心に質問していた。