「海砂採取議案」に関し、さまざまな意見や要望が出た奄美漁協総会
奄美漁業協同組合(柊田謙夫代表理事組合長、笠利本所、龍郷支所、大和支所、住用支所、正組合員161人、准組合員835人)の第15回通常総会が17日、奄美市笠利町の笠利本所会議室で開かれた。新型コロナウイルスの影響で、漁協側は正組合員に書面議決への協力を呼び掛けた結果、書面議決に121人が応じ、総会には、役員9人と正組合員5人の計14人が本人出席。2019年度事業報告書・決算など7議案は賛成多数で承認。7議案のうち、「2020年度海砂採取」議案について多くの意見や要望が出され時間を要した。大和支所の正組合員から「今総会での海砂採取議案を取り下げてほしい」などさまざまな意見が出されたが、議論は平行線をたどり、最終的に賛成多数で承認となった。特別議決事項(組合員除名の件)の1議案は、賛成131人、反対1人で承認された。
20年度海砂採取計画は①採取海域 大和村戸円沖合、採取量3万1200立方㍍、採取業者3社、採取漁業補償料は合計624万円②採取海域 奄美市住用町青久沖合、採取量1万7600立方㍍、採取業者2社、採取漁業補償料は合計352万円(うち名瀬漁協へ117万3千円)。
総会に出席した大和支所の正組合員からは「昭和50年代後半から長年にわたり、戸円沖で海砂採取が行われている。ムロアジ漁場などが破壊されている」「正組合員の過半数は、海砂採取に反対署名している。地元の過半数が反対している海砂採取議案を総会に諮るのはおかしいのではないか。今総会での海砂採取議案は取り下げてほしい」「大和支所にメリットはない」「漁業権を持っているのは大和支所」「大和支所の正組合員を集めて(海砂採取等について)説明し、意見交換してはどうか」―などの意見や要望が出た。
また「海砂(採取漁業補償料)に頼り過ぎ。海砂は永久にあるわけじゃない。海砂に頼らない漁協運営を模索すべき」との意見も出た。
一方で、「奄美漁協の収入源確保、運営は大変。収支を黒字にしていく見通しはまだ見えない。奄美漁協全体の理事として(海砂採取議案に)賛成の立場だ」との意見もあった。
「海砂採取業者によると、龍郷沖の海砂は、利用に向かないとの話だった」などの指摘も出た。
柊田組合長は「今後、支所組合員と十分に意見交換していきたい」との考えを示した
19年度当期剰余金は18万6900円余りで、5期連続で黒字を計上した。