県またぐ移動制限 19日から解禁

来島者の増加に備え、レンタカーの車内をアルコール消毒する従業員

LCC再開
観光客期待も感染不安

 新型コロナウイルスの感染拡大により続いていた都道府県をまたぐ移動の制限が19日から解禁されることになった。奄美大島ではLCC(格安航空会社)「ピーチ・アビエーション」の奄美―成田(東京)、奄美―関西(大阪)の運航が再開、県外から来島する観光客やビジネス客の増加が見込まれる。観光関係者らは4月以降、大幅に減少した観光客の増加を期待する一方、来島者の増加による感染リスクへの不安の声も上がった。

 奄美空港近くのレンタカー会社によると、今月8日ごろからビジネス客を中心に少しずつ利用客は増えており、19日のピーチ便の乗客とみられる予約も14件入っているという。担当者は「夏休みごろからは帰省客や家族連れの観光客の予約も入っている。7月中には、前年並みに回復するのでは」と予想を上回る予約状況を歓迎する。

 ただ、「来島者が増えれば、感染リスクも当然増える。利用客や従業員から感染者を出さないよう万全を期したい」と話す。同社は感染防止対策として、返却された車内の消毒の徹底を図っている。18日も従業員らがハンドルやシフトレバー、座席シート、窓の開閉ボタンなど運転手がよく触れる場所を中心に10分ほどかけて丁寧にアルコール消毒した。空港間の利用客の送迎を担当する従業員には、手洗いやアルコール消毒、マスク着用を徹底させる。また、利用客の検温実施なども検討している。

 19日以降は、これまで5人程度で行っていた業務を約10人態勢に拡充。車両台数も増やす計画だ。

 一方、奄美市笠利町で、ダイビングなど提供するマリンレジャーショップ「マリンヴィレッジ奄美」は、19日以降も県外客の予約はゼロの状況が続いている。同ショップの長誠和さんは「市の宿泊・体験プログラムを利用した島内客がほとんど。LCCの再開で観光客の増加を期待したいが、7、8月もそれほど利用が増えることは見込めない」と話し、「シュノーケルなど利用者が直接身に着ける機材も多い。消毒を徹底するなど感染対策をしっかりしたい」と話す。

 奄美市住用町の黒潮の森マングローブパークも、5月中旬からカヌー体験などの営業を行っているが、島外からの来場者はほとんどいない。寿浩義支配人は「平年並みに戻るにはしばらく時間がかるのでは。今は感染対策をしっかりとして、利用客が安心して楽しめる環境提供に努めるしかない」と話した。