自粛者に応援企画

新橋駅前で店のアピールをする酒匂店長とスタッフの井上楽=らく=さん


新しいスタイルの「与論献奉」を常連の女性会社員に提案する、代表の久留さん(中央)と酒匂店長

「新しい与論献奉」の試みも
新橋の島料理店

 【東京】「ステップ3」から、休業要請全面解除となった東京の料理店が続々と暖簾=のれん=を上げ直している。そんななかで港区新橋の島料理店が、来店者へボトル1升を贈呈する大盤振る舞いをした。また、伝統の「与論献奉=けんぽう=」をコロナ禍で対応する、新しい試みも登場している。

 イベントを行ったのは、新橋の奄美・沖縄料理「島の台所まさむぬ」だ。「南西諸島来島自粛のお客様へ」のメッセージとして「島に帰省や旅行ができない今だからこそ、島酒を飲んで、飲み語りましょう」と始めたもの。手指のアルコール消毒をした上で入店。感染した場合に経路を追えるよう、代表者の連絡先を記入し着席するというスタイル。用意されたのは、黒糖焼酎か泡盛を一升、または720㍉㍑のボトル2本(2人ごと)。

 「島を訪ねたくてもかなわない人たちをなんとか応援したく、考えました。万全な体制でコロナに備えながら、島の味を堪能してもらいたい」。同店代表の久留誠史=たかし=さんはイベントのきっかけを語った。料理を2品以上注文することで、1カ月間ボトルがキープされる。

 また、与論島のおもてなし「与論献奉」だが、感染拡大以来、お盆に載せた朱塗りの杯を回し飲みする形式に「大丈夫でしょうか」の声もあったという。そこで「少しでも安心してもらえるようなら」と人数分のグラスを杯の代わりにすることに。「伝統を守るため苦肉の策ですが、口上は従来通り。早く元通りになってほしいですね」とは、酒匂=さこう=智弘店長。

 代表以下スタッフの情熱に応えるように、ボトルは15日から21日までの期間中に、次々と開けられていた。「まさむぬ」は与論島の方言で、ご馳走やおいしいものという意味。同店は、港区のニュー新橋ビル3階。予約、問い合わせは電話03・6811・1226まで。