島外からの入荷が少なく、地場産を中心にセリが行われた奄美市地方卸売市場(18日午前)。
ホウレンソウなどの葉物をはじめ、ジャガイモやタマネギ、ニンジンなど食卓に欠かせない野菜の多くが7月に入って高騰している。九州各地を襲った豪雨災害や梅雨の長雨などの影響で、熊本や福岡など主な産地が被害に遭ったことから、ほとんどの品目で入荷が減少、品薄になっていることが要因とみられる。島外の入荷量が減ったことから、地場産も例年より高値で取引されている。
名瀬中央青果によると、18日に取引のあった野菜のほとんどが、平年の2~3倍の価格で競り落とされたという。平年だと1箱20㌔が約2200円で取引されるタマネギのこの日の値段は5400円。主な産地は佐賀県だが、豪雨災害の影響などから取引量も、通常の半分に満たない状況で、品薄感から高値が続いているという。
ジャガイモは平年だと1箱10㌔2400円ほどだが、3倍近い6800円で取引。ニンジンも平年10㌔1500~1600円が、4500円とこちらも約3倍の価格で取引された。
葉物野菜もほとんどが値上がりしている。ホウレンソウは平年5㌔3500円程度が5000円に、チンゲンサイは1800円が3500円、コマツナも1800円が2800円となっている。
ジャガイモは長崎県、ニンジンは熊本県、ホウレンソウは福岡県が主な産地だが、いずれも豪雨災害の被災地。入荷量が少ないほか、水害などで傷んだ商品の入荷があるなど品質低下も懸念されている。
島外産の野菜の入荷が減った影響で、地場産野菜の取引価格にも影響が出ている。同日、セリに参加した仲買人の男性は「全体的に出荷量が少ない。ナスやキュウリなどの地場産も通常の倍近い値段になっている」と話し、別の男性仲買人も「島外産の野菜が手に入らない状態」と話した。
名瀬中央青果の三原敬幸経理係長は「産地の多くが豪雨災害に遭い、全国的に品薄になっている。注文しても鹿児島の市場で調整され、奄美に割り当てられる量はわずかになってしまう」と現状を話し、「災害に遭った産地では、生産態勢が元に戻るまで半年はかかる。秋以降もしばらくは品薄による高値が続く見込み。島内の生産者にとっては高値取引が期待できるので、もっと出荷してもらいたい」と話した。