オンライン授業二題

「友だち感覚」による現役東大生ら遠隔授業取り組みが5年目(中学3年生の部)=19日、伊仙町

現役東大生ら友達感覚で
伊仙町・5年目

【徳之島】新型コロナウイルス対策もあって、テレワークや教育分野のICT(情報通信技術)利活用の取り組みが一気に進展する中、伊仙町の学力向上対策「現役東大生によるインターネットを使った遠隔授業」講座は今年で5年目。中・高校の数学に絞って受講対象(無料)を町外にも解放。友達感覚の〝子弟間〟交流も人気のようだ。

 合計特殊出生率日本一の伊仙町で育つ元気な子どもたちの能力と可能性をさらに伸ばし、将来的に、ふるさと徳之島や日本、世界中で活躍できる人材の育成が目的。2016年度に「いせん寺子屋」と併せて開講。東京大学生らが講師を務める受験対策(東大ネットアカデミー)のオンライン授業。地方創生推進交付金事業の一つ。

 コロナの影響も受けないオンラインで5年目となった今年度は今月5日、町歴史民俗資料館施設で開講した。毎週日曜日に中学生は午後4時半~同6時、高校生は午後6時半~同8時)の1時間半ずつが基本。ほか、夏季講座8月3~7日と同24~28日、冬季同1月6~9日も計画している。

 講師陣の学生と中高生たちは年齢が近いこともあり、ICTを通じ兄姉や友だち感覚で和やかに交流。受講生の杉山日咲さん(伊仙中3年生)は「受験生でもあり、数学の力をつけたくて参加。少人数で詳しく教えてくれるので分かりやすい」。元受講生の松田響さん(徳之島高出身)は「2年間受講したが非常に有意義だった。学校とは違った数学の解き方をも学べ、受験生の心構えや大学生活など雑談で受験期の憩いの場にも」など感想も。

 個人やグループによるコマ別の当日参加も自由。会場支援員も募集中。

 開講日時の確認など問い合わせは伊仙町教委(社会教育課)電話0997‐86‐4653へ。

WEB遠隔ライブ授業体験
徳之島町・夏季特別講習会

夏季特別講習会でタブレットを使いWEB遠隔ライブ授業を体験する小学生たち=27日、徳之島町

 【徳之島】徳之島町教育委員会は小中学生の学力向上取り組みの一環で今年度新たに、1人1台のタブレット端末を通してプロの講師から遠隔授業を受ける「夏季特別講習会」を27日、小学生(4~6年生)を皮切りに町内2会場で開講。静まり返ったホールで児童たちはヘッドホンと画面を通じ、学年別の遠隔ライブ授業に溶け込んでいた。

 同町教委(学校教育課)によると前年度までの5年間、鹿児島大学の現役学生グループを講師に招き学年別の夏季特別講習会を開いてきた。今年度は直接指導方式を改め、Wi-Fiの普及などICT(情報通信技術)を活用した各家庭でのタブレット・オンライン学習にも備えるのが目的。遠隔授業システムは同開発企業が協力している。

 会場は、町北部が花徳地区地域農業管理施設(花徳)、南部は町生涯学習センター(亀津)。講習会の日程は、▽小学4・5・6年生(申込者51人=27~31日午前▽中学1年生(12人)=8月3~7日午後▽同2年生(8人)同17~21日同▽同3年生(3人)=同24~28日同。教科は小学生が国語・算数、中学生は国語・数学・英語。受講時間は1日3時間ずつ。

 初日(27日)の小学生の部では、3人の講師が学年別に遠隔ライブで授業。緊張気味だった児童たちは約15分後には操作も覚え、ヘッドホンと画面越しに講師からの指名・質問にも対応。講師のジョークに同学年生たちの笑い声が響いた。その光景に町教委の担当者は「子どもたちは覚えるのが早く、通常の教室と変わらない雰囲気だった」と話した。