陳情活動など基盤となる「平土野港多機能港湾新設期成同盟会」設立総会=7月31日、天城町
【徳之島】天城町の「平土野港多機能港湾新設期成同盟会」(会長・森田弘光町長、14委員)の設立総会が31日、同町役場会議室であった。同町が現平土野港の北側に位置する「喜治(きじ)海岸」一帯への新設を構想する同多機能港湾整備を核としたウォーターフロント開発事業の国・県要望活動。さらには、同大型事業の実現に並行した平土野市街地の再開発にも向けた取り組みにも本腰を上げる。
「多機能港湾」は、物資の輸送を目的とした貨物港、漁港の荷揚げなどを行う産業港、フェリーや客船など乗降を目的とした旅客港、大型クルーズ着岸を可能とする規模のバースを整備したいわゆる多用途多機能型港湾。
天城町は2011年5月の「ふじ丸」を皮切りに平土野港へのクルーズ船の誘致を進め、19年7月までの実績は計9隻(乗客計2835人)。同港が、国土交通省の島嶼(しょ)部クルーズ開発の一環でモデル候補地の一つに選定されたこともあり、同構想を推進している。今年3月には同基本構想「しま・ひと・たから 平土野港再生計画」も策定した。
同構想の事業化・実現に向けた〝礎石〟ともなる期成同盟会は、町議会をはじめ観光連盟、商工会、集落区長、建設業協会、女性、住民の各代表ら14委員で構成。町の関係課長らをオブザーバーを含め19人が出席した。
設立総会の冒頭、森田町長は「平土野港の機能強化はどうしても必要。徳之島や大島地区議員大会でも(採択して)国県に要請活動をしたが、大型プロジェクトのため一朝一夕ではいかない」。世界自然遺産登録にもクルーズ観光が大きな役割を占めることも強調し、「息の長い取り組みになるが、しっかりとスクラムを組んで実現したい」と要請した。
委員委嘱状の交付に続き、事務局側(町企画財政課)が基本構想(平土野港再生計画)の概要を解説。うち「喜治海岸」(九電発電所西側の海岸線一帯)に関しては、静穏度が高く、全天候型に近い多機能港湾整備が実現することで年間利用率も向上。①大型クルーズ船・フェリーなどの定期寄港による観光・地域振興や②生活物資・農畜産物・建設資材輸送の安定化③漁船を含む他船舶への物資補給―など目的を挙げた。
同盟会は、陳情・要望活動を主に、計画素案に対する各種調査や、住民や関係諸団体への広報宣伝活動なども展開していく。