「奇跡」の子牛双子生産計6回に更新

双子の子牛生産記録を6回に伸ばした常秀男さん(孫たちとともに)=23日、伊仙町馬根

 

伊仙町馬根の常さん
人工授精師ら「不思議でならない」

 

 【徳之島】「喜び2倍の双子の生産記録が6回に更新」―。昨年夏、飼養する同一の肉用繁殖牛に計4回もの多胎分べん(双子)を授かり、「奇跡的な幸運の連続だ」などと話題をまいた伊仙町馬根の農業・常秀男さん(74)。ところが、今年6月にかけて別個体の母牛2頭も立て続けに双子を産み、その回数を計6回に伸ばしていた。担当した人工授精師らも「不思議でならない」と、しきりに首を傾げている。

 サトウキビ約3・3㌶やバレイショ約1㌶のほか繁殖牛(母牛)は6頭を飼養する複合経営の専業農家だ。肉用牛は小規模の部類だが昨年、その話題を集めた飼養牛は、登録名「くりすてる」号(2008年10月5日生)。それまでの計8回の出産のうち18年2月と19年6月の2年連続を含めじつに計4回が双子。受精卵移植などとは全く無縁の通常の人口受精での「ありえない奇跡」。「4度はギネスブックものでは?」などとも肉用牛生産農家らの話題をさらった。ちなみに9回目の今年は通常分娩べんによる1頭のみだった。

 ところが、同じ牛舎で飼養する別個体の繁殖牛「かめちゃん」号が昨年10月11日に双子を産んだのに続き、今年6月15日には「せいこう」号が相次いで双子を初出産。常さんの飼養する繁殖牛6頭の半数が双子を産み、飼養者個人としては11年9月以降この8年余で計6回にも達した。

 「『何か特別なことをしているの?』『2回種を付けている?』とか聞かれることもしばしば」。独自の母牛飼養の特徴としては「牧草など青草以外に千年木やガジュマルなど木の葉、飼料用トウモロコシなど何でも与えている。塩分補給は(家畜用岩塩ではなく)食塩を草にばらまいているていど」と常さん。

 常さんの飼養牛の担当を続けている近くの家畜人工授精師常隆造さん(36)は、「畜産農家にとって肉用牛の双子が産まれるのは一生に一度あるか無いかの確率だと思う。私自身、父の代から繁殖牛60~70頭を38年余にわたり飼養しているが双子の子牛を授かった経験は一度もない。それにしても不思議だ」。羨望のまなざしで首を傾げ続けている。

 常さんによると、9月と11月には2頭ずつが出産を予定している。相次ぐ〝双子の幸運〟に、「牛舎と土地の条件もいいのかも。またまた〝喜び2倍の双子〟を産んでくれると自信満々です」と笑顔を輝かせた。