トップは宇検村30・5%

マイナポイントの案合画面(総務省特設ホームページより)

群島6自治体が20%超え 交付促進策は未知数?
マイナンバー

 総務省はこのほど社会保障・税番号(マイナンバー)カードの交付実績(8月1日現在)を発表した。奄美群島の自治体では6市町村が20%を超え、トップの宇検村(30・5%)は県内3位に位置付けた。マイナンバー制度は実施から3年以上経つが、「持たないデメリットがない」ことを背景に交付実績は全国的に伸び悩む。国はキャッシュレス決済でポイントを還元する促進策を打ち出したが、住民側の関心は高まっていないのが実情だ。

 国民全員に番号が割り当てられるマイナンバー。社会保障や税、災害などで手続きのスムーズ化が図られる。今回の発表によると交付率は国全体で18・2%。鹿児島県全体は17・1%。奄美群島の9自治体が県平均超えで、30%を達成した宇検村をトップに、以下、奄美市(25・1%)、知名町(24・5%)と続く。群島全体の交付数は着実に伸びているものの緩やか。

 地域の高齢化が進む奄美では返納した運転免許証の代わりに、写真付き身分証明証として同カードを利用するケースが少なくない。

 宇検村では今年3月、村内集落を回り、公民館で写真撮影するなど申請しやすくしたところ、「親族や友人が連れ立って、申請に訪れていた」(同村住民税務課)。奄美市では「まなびフェスタ」で申請受付ブースを設け、市民にカード申請を呼び掛ける活動を展開。年度当たり0・8~0・9ポイントの伸びとなっている。

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 政府は当初、「数年後にはほぼ保有している」と想定したが目標の2割にも満たず、大きな隔たりがある。その打開策として、国はクレジットカードや電子マネーで買い物をすると1人最大2万円の利用に25%(5千円)分のポイントを付与する「マイナポイント事業」をスタートさせた。ポイント受け取りはマイナンバーカードの取得が前提で、スマホやパソコン上で予約と申し込みを行う。実施は9月から。

 政府はマイナポイント事業の利用を積極的に促していく考えだが、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ消費活動の下支えだけでなく、カードの交付を促したい意向が透けて見える。

 奄美市市民課によるとマイナポイントの手続きに関する問い合わせは増えつつあるという。ただスマホでの申請の際、「カードの読み取りを長めに」「金属性のテーブル上では読み取りにくい」など機種トラブルも出ているようだ。

 この事業によってカード取得者の増加につながるかはいまのところ未知数。マイナポイントを申請した奄美市の40代女性は「家族全員のカードを取得済み。せっかくの機会だからポイントをもらいたい」とした上で、「申請主義の制度なので公平性が感じられない」と苦言を呈した。