県議会臨時会

支給対象者約17万5千人
新型コロナ対応従事者慰労金 1人あたり20万~5万円
感染者年代別、30歳代が最多

 補正額としては最大規模の8月補正予算案(435億1700万円)などを審議する県議会臨時会が27日開会、会期は28日までの2日間。塩田康一知事の提案理由説明、各会派代表の質疑あり、国の二次補正に基づく新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付金事業(67億9千万円)は、国の基準では支給対象期間は6月末までだが、鹿児島県は7月末までに拡大。対象者は医療機関約7万人、介護施設約7万人、障がい者施設約3万5千人の計約17万5千人を見込んでいることが説明された。

 知事は提案理由説明の中で「7月以降、相次ぐクラスター(感染者集団)発生で県内では300人超の感染者が確認され、11人の方が亡くなった」と述べ、7月22日発生した与論島のクラスターについては「感染者を海上保安庁の航空機および自衛隊のヘリ等で県本土などへ搬送を行うとともに専門家を派遣し、感染状況の確認・院内感染対策等の指導を行った」と報告。知事は「県民の安心安全と経済活動の再生を図るには、感染防止対策をしっかり講じるとともに医療提供体制を確保することが必要」として感染防止対策推進、医療提供体制強化へ過去最大規模の補正予算を計上したと強調した。

 会派代表の質疑に関する答弁では、感染者の年代別状況が説明された。30歳代が全体の18・9%と最も高いが、地頭所恵・くらし保健福祉部長は「70歳代以上が19・5%となり、重症化リスクの高い高齢者も多くの人が感染している」と述べた。

 質疑が集中したのが、「新型コロナ感染症の拡大防止・収束に向けて、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って業務に従事している」医療機関の医療従事者等(10日以上勤務者)に対し、慰労金を支給する事業。答弁では、給付金額=入院患者の受け入れ、帰国者・接触者外来の設置など県から一定の役割を設定された医療機関等に勤務する医療従事者等に対しては、実際に患者の治療等を行った医療機関等の場合1人あたり20万円、診療等を行っていない医療機関等の場合同10万円、役割設定されていないその他の医療機関等に勤務する医療等従事者の場合同5万円。ただし7月以降感染者が拡大していることを踏まえ、国の基準で10万円の施設となっている施設で7月末までに患者の治療等を行った場合は20万円を支給▽職員の範囲=資格や職種、雇用形態に限定なし。身体的接触がない事務職員や清掃等業務職員も含まれる。委託業務等の職員であっても勤務内容によって対象とする▽医療機関等の給付方法=申請から支給までの手続きは国が示したマニュアルに沿って実施。医療従事者等から委任を受けた医療機関単位で申請を行い、県の委託を受けた県国民健康保険団体連合会が受け付け、県の審査後に国保連を通じて医療機関等に慰労金支給。医療機関等で慰労金支給後、職員に支給した際の証拠書類を添付して実績報告書を県に提出▽支給対象期間=県内で最初に感染者が出た3月26日~7月31日までだが、障がい者施設等における対象期間はこれまで利用者に感染症が発生していないことから国の基準通り6月30日まで▽支給時期=医療機関等からの初回受付期間は9月15日~30日まで予定。その後に県で申請内容を審査した後、10月下旬に国保連を通じて医療機関等へ慰労金が支給される予定―などの説明があった。

 支給時期については質問に立った会派代表議員から「10月末では遅い。一日も早く従事者に慰労金が届くよう塩田知事のリーダーシップを発揮してほしい」との注文があり、知事は「一日も早く県民のもとに届くよう努力したい」と述べた。

 このほか宿泊施設感染防止対策支援事業に関する質疑も。宿泊施設の新型コロナ感染防止対策を徹底するため、宿泊施設従業員向けのセミナーを奄美含む県内各地で開催し、各施設における感染防止コンシェルジュを養成するもの。答弁で木場信人PR・観光戦略部長は「セミナーの最後に確認テストを受けてもらい、宿泊衛生責任者とは別に合格者を本県独自の感染防止コンシェルジュとして合格証を授与する。これにより県内宿泊施設における感染防止対策の実行性を向上させるとともに、本県の宿泊施設の安全性を全国にPRしていきたい。講師は、感染症で宿泊客に対する適切な案内の在り方に知見を有する大学の教員など専門家を考えている」と述べた。