壁画コラボで「豊かな森」

徳之島高美術部員らとイラストレーター竹添星児さん(後列左)=伊仙町在住=がコラボ制作した壁画=30日、徳之島町花徳支所・北部地区振興対策室

徳之島高美術部とイラストレーター表現
徳之島町花徳支所・北部振興対策室

 【徳之島】徳之島町花徳支所・北部振興対策室の室内壁面に、徳之島高校美術部(中山鈴香部長・部員12人)と、県内外で活躍するイラストレーター竹添星児さん(伊仙町阿権在住)とがコラボレーションした壁画が30日夕までに完成。同島の豊かな森の希少動植物たちをモチーフに、ポップに描いたそのテーマは「DEEP TOKUNOSHIMA」。北部振興と世界自然遺産登録へのムードをさらに盛り上げそうだ。

 同北部振興対策室(東弘明室長)は、町北部地区(母間~手々集落=旧東天城地区)の振興対策強化のため今年4月に新設された。諸対策をはじめ、世界自然遺産推進では〝自然遺産センター〟誘致なども目標に進めている。室内壁画は「取り組みに弾みを」と徳之島高美術部(平野良光顧問)に依頼した。同美術部はイラストレータ―竹添さんに共同制作を打診。今月8日には学校に招き、プロのイラストレーターの仕事内容など講演も聴き事前交流していた。

 デザインは、竹添さんがデジタル技術を駆使して担当。コンセプトは、日常を過ごす職場のためポップなタッチで色数を抑えたデザイン。緑を基調に「豊かな森」。「自然遺産候補の森を眺めるようなシーン」として希少動植物たちをちりばめた。美術部員たちは29、30日の丸2日間をかけて、四方の壁空間にそのデザイン原画を下描きして地道にペイントして完成させた。

 無機質な白壁の変容に、東室長(59)は「室内がわくわく感に包まれた感じ。来室者さん方と世界自然遺産登録や北部振興対策の話が弾むきっかけになり、職員の意識も変わってくると思う」と満足。

 全部員と心を一つに完成にこぎ着けた中山部長(3年)は「プロのイラストレーターとのコラボで、自分の画風(油絵)とは違った分野にも挑戦ができ、学びが多かった。壁も大きく達成感もあった」。

 竹添さんも「徳之島高は壁画制作など多くの実績もあり、それぞれの得意分野をうまく描き合わせたコラボになった。ある意味、予想以上に応えてくれるなど、新鮮な企画になったと思う」と満足。

 企画した美術部顧問の平野教諭は「竹添さんは日本全国的に広く活躍され力のある方。いつか一緒に何かやれればと考えていたが、(開発室から)お話をいただいた時はチャンスだと。デザインやイラストレーションの第一線で活躍するプロの考え方や指導をいただけて良かった」と話していた。