各地で旧盆入り

提灯を持参し先祖の霊を迎える墓参客ら(31日午前10時、奄美市永田墓地)

「一緒に帰ろうね」
奄美市永田墓地 先祖の霊迎える

 旧暦の7月13日にあたる31日は、旧盆の迎えの日――。台風9号が近づく奄美各地では、晴れ間ののぞくうちに早めに先祖の霊を迎え入れようと、朝早くから大勢の家族連れや里帰りした人たちが墓地を訪れ、手を合わせる姿が見られた。

 毎年4千人以上が訪れるという奄美市名瀬の永田墓地では早朝から大勢の墓参客が提灯や菊の花、線香などを携えて参集した。墓参客らは、墓地の枯葉などを拾って墓石を洗い清め、花や供え物を手向けて墓前で合掌。墓参りを済ませた後は、持参した提灯に火を灯して先祖の霊を自宅に導いた。

 龍郷町赤尾木の里原郁子さん(69)は、「風が強くなる前に」と午前中に両親の墓を訪れた。「父は小学生の時に亡くなり、母は女手一つで子ども3人を育ててくれた。優しく思いやりのある母で、教えがあったからこそ今があると感謝している」と手を合わせた。

 母と兄弟の4人で来たという名瀬小2年・盛山凛空くんは、昨年亡くなった祖父母を迎えに墓参。「おじいちゃん、おばあちゃん一緒に帰ろうね」と墓に声を掛け、提灯を手に家路に就いた。

 なお奄美市は同日、墓参者の安全を確保するため、同墓地周辺での交通規制を実施。旧盆の送りとなる2日も午後1時から同7時まで実施予定で、期間中は混雑が予想されるため、市は公共交通機関や民間の駐車場利用などを呼び掛けている。