奄美大島北部でみられたサトウキビの台風被害。吹き返しによる倒伏が目立った
台風10号の進路に近かった喜界島と奄美大島では、通過後の7日、地元自治体や製糖会社、JAにより基幹作物サトウキビの被害調査が行われた。喜界島、奄美大島北部(奄美市笠利町など)とも台風通過後の吹き返しによる強風が影響、倒伏や折損、葉の裂傷が出ているが、両島では最も収穫面積が多い喜界島の被害率は8%にとどまっている。
喜界町農業振興課によると、同日の調査結果では、今期収穫面積(1414・8㌶)に対する被害状況は「被害は島全体に及んでいるが、地域によって差があり被害率は8%の状況。ただし今後、潮風害が表面化すると被害率が上昇する可能性がある」と説明。台風による雨は「思ったより降っていない。高波と強風による塩害が心配される。ほ場に整備されているスプリンクラーの安全性が確認出来たら、農家に散水を呼びかけたい」。
被害が目立つのは、キビ作が盛んな荒木集落など島の南側。倒伏・折損・裂傷といった強風による被害は、作型では夏植えで目立ち、茎長が短い春植え・株出しはそれほど多くないという。倒伏は今後の天候によっては回復が期待できる。なお、喜界島のキビ生産量は、島内にある大型製糖工場・生和糖業の2019/20年期実績では、搬入量は約7万7千㌧となった。
奄美大島の方は、奄美市笠利町にある富国製糖が被害状況を報告している。7日の調査では、ほとんど同じ方向の吹き返しによる倒伏が目立ち、深刻な折損はそれほど多くないという。笠利半島で最もキビ作が盛んな東海岸側は雨も観測されたことから、「塩害の心配はあまりない。屋仁や佐仁地区が心配。強風により葉の裂傷も目立つが、まだ9月であり、今後の天候によっては生育が改善するかもしれない」としている。富国製糖の今期の収穫面積は536㌶で、約2万2千㌧の搬入量を目指している。