わな捕獲なし

奄美大島での生息数「極めて少ない」
20年度も事業、完全排除へ
19年度マングース防除事業実績

 環境省沖縄奄美自然環境事務所は10日、外来生物法に基づく奄美大島でのマングース防除事業で、2019年度実施結果と20年度計画を公表した。防除事業のわな捕獲で投入された捕獲努力量は、重点区域が減少しモニタリング区域が増えたため、18年度よりも約17%減少し約217万わな日となり、わなでのマングース捕獲はなかった。探索犬による探索も捕獲はなく、18年4月に捕獲があって以降、約2年にわたり捕獲のない状態が続き、継続的にマングースが減少していることから、奄美大島での現在の生息数は「極めて少ない状態」と分析している。

 19年度の捕獲作業などは、奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町で実施。わなでの捕獲はなく、「全島的な低密度化が進んだものと考えられる」。重点区域の湯湾釜エリアでも捕獲はなく、「局所的な排除に向けて大きく前進した」と捉えている。

 マングース探索犬(生体探索犬、糞=ふん=探索犬)については、全体で2663ペア日、南西部の各エリアでの探索を重点的に実施。探索ルート延長は全体で4596㌔に達したが、マングースの捕獲はなかったという。また、奄美大島島内411地点にセンサーカメラを設置。約8万9000カメラ日の調査を行ったが、18年度に引き続きマングースは撮影されず、「マングースのさらなる減少傾向および生息密度の低下が示唆された」。

 寄せられたマングース目撃情報は11件。同事務所は「ほぼすべての情報について、情報取得後に聞き取り調査などを実施し、ピンポイン捕獲や探索犬による探索などを実施した。マングースの生息は確認されなかったが、残存個体群が存在する可能性も否定できない」としている。アマミトゲネズミおよびケナガネズミ、アマミイシカワガエルなどの在来種は、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されているという。

 20年度防除事業計画では、引き続きわなによる捕獲を継続しながら、マングースの生息情報の収集・効率的な捕獲のための探索犬による対策を実施。住民からの目撃情報収集も強化する予定としている。在来種のモニタリングを行いながら広域的な防除体制を維持し、「引き続き奄美大島からの完全防除を目指していく」との方針を示している。