県議会一般質問

殺処分数年間2千匹超
知事「ゼロにし人と動物の形成社会実現」

 9月定例県議会は29日、引き続き一般質問(最終)があり、上山貞茂議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、米丸麻希子議員=自民、姶良市区=、鶴丸明人議員=自民、霧島市・姶良郡区=、日高滋議員=自民、西之表市・熊毛郡区=が登壇。犬や猫の殺処分数は年間千匹を超えている中、知事選マニフェストで殺処分ゼロを掲げたことについて塩田康一知事は「人と動物の形成する地域社会を実現したいとの思いからマニフェストに掲げた」と述べた。

 県の動物愛護推進計画では2023年度までに犬・猫の殺処分数を2千匹以下、譲渡率を20%以上とする数値目標を設けている。知事は答弁で「19年度には犬・猫の殺処分数が1074匹、譲渡率45・2%となり、すでに計画目標を達成している状況」と説明。マニフェストに掲げている殺処分ゼロ実現に向けては、動物愛護に対する県民意識の向上や適正飼養等の啓発が重要として県動物愛護センターにおける動物愛護教室や譲渡会の実施などを通じて、動物愛護思想の普及や適正飼養の推進に努めるとした。

 児童相談所の体制強化を求める質問では、児相による一時保護委託が取り上げられた。子どもの状況により一時保護所(児相)での保護のほか、養護施設などに一時保護を委託するケースがある。吉見昭文子育て・高齢者支援総括監の答弁によると、19年度に委託で一時保護した児童は319人で、委託期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限としている。委託先には子どもへの説明内容や子どもの意向、性格、特性のほか、親子関係、同年齢の子どもとの関係など児相が把握している情報を提供。委託先からは子どもの状況や行動観察の結果が報告されるとともに、児童福祉士が委託先を複数回訪問し面接を行うなど「援助方針を定めるため、状況把握を行っている」との説明があった。

 日高議員が取り上げた離島振興の所見で塩田知事は「離島の多様で豊富な経済資源を活用するとともに生活環境、産業基盤の整備とさらなる産業振興を図っていく」と決意を述べ、具体的には▽航路・航空路の運賃軽減や離島航路の支援▽ICT技術を活用した遠隔診療や教育の充実▽蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギー推進▽LCCによる路線新設▽奄美の世界自然遺産登録実現▽貴重な動植物の保全―などこうした条件不利性の改善に今後引き続き取り組むとともに、定住促進と観光振興を図るとした。