JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は28日、9月の大島地区子牛セリ市結果をまとめ公表した。与論町で発生した新型コロナウイルスクラスター影響のほか、台風の影響もあり日程を大幅に変更して開催。市況をみると、価格の総平均は58万4061円で、前回(今年7月)比1万5997円下落、再び60万円台を割り込んだ。
同駐在によると、今回のセリ市は7月の与論町でのクラスター発生を受けて早々に与論を18日に延期することを決定し、感染症対策を十分に取った上で開催予定だったが、9月上旬に発生し接近した台風の影響で徳之島を1日開催(4・5日分を4日の1日開催)へ変更、瀬戸内、笠利を19日、喜界を20日に延期するなど、セリ期間中に日程を大幅に変更。特に瀬戸内市場管内の子牛は、前日までに笠利市場へ約2時間かけて移動し、笠利市場でのセリ開催と負担を強いられた。
こうした状況で開催された今回のセリ市の入場頭数は1684頭(雌666頭、去勢1018頭)で、全て売却された。平均価格は、雌52万77円(前回比2万8311円安、5・2%減)、去勢62万5920円(同1万257円安、1・6%減)となり、雌の下げ幅が大きい。
合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、笠利の59万9367円を筆頭に、徳之島、沖永良部、瀬戸内、与論、喜界の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価で市場を格付けすると、沖永良部の2222円(キロあたり)を筆頭に、徳之島、瀬戸内、笠利、喜界、与論の順。セリ日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、沖永良部257・4日、徳之島258日、瀬戸内・笠利・喜界272日、与論278日の順となった。
今回の相場結果について同駐在は「緊急事態宣言後に下位等級がスーパー、量販店などで消費活動が少しずつ増えてきているものの、5等級などの外食向けの上位等級の動きが鈍いことから、軟調な相場となった」と指摘。また、前回に比べて繁殖雌牛の導入の動きが落ち着いてきたことから、雌の下げ幅が大きくなったという。延期となった市場では子牛の商品性が心配されたものの、「商品性の高い子牛(骨格鮮明で、体高、胸底から下腹部までの深みが充実し、肩の付着のしっかりとした伸びのある子牛)は延期した日程の中でも高く販売することができていた」として、バランスの良い、深みのある牛が特に引き合いが強く、有利販売できていたとしている。