奄美市中1自殺問題再発防止対策検討委

生徒指導ハンドブック案を承認、協議を終了した再発防止対策検討委員会

生徒指導ハンドブック承認
第三者評価委設置、実効性チェックへ

 奄美市の中学1年男子生徒(当時13歳)が2015年11月、担任教諭の不適切な指導で自殺した問題で、同市教育委員会が設置する「再発防止対策検討委員会」(委員長=假屋園昭彦鹿児島大教授)の第9回会合が6日、市役所であった。生徒指導の在り方などをまとめたハンドブック案について、概要や文言などを一部修正した上で承認し、同委員会での協議を終了した。ハンドブックは、市教委が最終的な修正を加えたうえで、市内の全小中学校に配布、再発防止や生徒指導などに活用する。

 委員らによると、ハンドブックは、冒頭で男子生徒の自殺事案の概要や課題などに触れた上で▽生徒指導態勢▽体罰・暴言▽教育相談▽教育委員会の在り方―について項目別に触れており、いじめや不登校への対応など、生徒に寄り添った生徒指導の在り方などについて記されているという。

 ただ、遺族委員らからは、自殺事案に関する説明が不十分であることや、市教委の主体的検証部分がない点などの指摘があり、名ばかりハンドブックとならないために実施状況をチェックする「第三者評価委員会」(仮)の設置などを求める意見が提出されていた。こうした意見を受け、第三者評価委の設置を前提に、今後、市教委で組織の在り方などについて協議していくことが決まった。

 また、ハンドブックだけでは、男子生徒の自殺事案に関する理解が不十分となる恐れがあるため、2018年12月に第三者調査委がまとめた調査報告書をハンドブックとセットで活用することも決めた。

 会合は非公開で行われ、終了後に假屋園委員長が協議内容などについて説明した。假屋園委員長は委員会で承認されたハンドブックについて、「委員からの意見などを反映し、再発防止に向けた対策などが示されている」などと評価。「委員会での議論は終了したが、再発防止に向けた取り組みはこれから始まる。ハンドブックが再発防止に生かされるよう、委員会として注視していきたい」などと語った。

 一方、同検討委の委員でもある男子生徒の父親は、会合終了後、報道機関の取材に応じ、「ハンドブックの内容は不十分で、もっと議論すべきだったと考えている。委員会としては承認したということだが、個人としては納得いくものではない」としながらも、「第三者評価委の設置が決まったことは評価できる。今後は評価委が十分機能できる組織となるよう働きかけるとともに、改めて市教委による主体的検証を求めていきたい」と話した。