「伝泊」最優秀・国交大臣賞

奄美市笠利町須野の「伝泊 高倉のある宿」で行われた八月踊り体験の様子


同町赤木名の「伝泊+まーぐん広場」(共に奄美イノベーション提供)

UNWTO倫理賞もW受賞 「社会性の高さ」評価

 奄美群島で「伝泊」を展開する奄美イノベーション㈱(山下保博代表)はこのほど、第6回ジャパン・ツーリズム・アワードで最優秀賞である国土交通大臣賞と、UNWTO倫理賞をダブル受賞した。

 同アワードは公益社団法人日本観光振興協会など三つの観光団体が主催する。ツーリズム(主題を持った観光や旅行)の発展促進や、国内外の団体や企業などの持続可能で優れた取り組みを表彰するもの。今年は178件の応募があり、9月2日に最終選考会があった。

 同社の取り組み名は「集落文化×『伝泊+まーぐん広場』が創る『日常の観光化』を国内外に展開」。

 「伝泊」とは、伝統的な構法で建てられた古い民家や、伝説的なストーリーを持つ建物を、「もとの姿に戻す」ことに重点を置いて再生した宿泊施設のこと。現在奄美大島、瀬戸内町加計呂麻島、徳之島で30棟44室を展開する。

 奄美市笠利町赤木名の中心地点にある「伝泊+まーぐん広場・赤木名」では、宿泊施設やレストラン、高齢者・障がい者施設、学習や保育スペースが一体となった複合施設を提供する。観光客、高齢者、子どもたち、障がい者が集う地域コミュニティのコアを構築し、活性化を図っているという。

 審査を行った国連世界観光機関(UNWTO)は、評価ポイントとして「『集落文化の日常を観光化』するという新しい旅のかたちの提案。観光客だけでなく、地域住民の雇用促進や観光客と地域住民が集う場を設けることで、住民と観光の垣根をなくすなどの社会性の高さ」を挙げた。

 受賞を受け山下代表は「奄美は、何百年も小さな集落単位でそれぞれの文化・伝統を持っていることが特徴的な地域。観光客が集落の日常を住民とともに体験することが、これからの観光の中心になれば。建築家として別の集落にも光を当て、住民の方々と緩やかな活性化に協力できればと思う」とコメントした。