実証実験を行う市道三太郎線、スタル俣線、石原栄間線
環境省は、奄美市住用町の市道三太郎線で11月19~23日の夜、野生動物を観察するナイトツアーの実証実験を行うと発表した。三太郎線は事前予約制、台数制限、一方通行などの制限が課される。住民、ガイド、観光客など三太郎線周辺道路を通行するすべての人が対象となる。実験の効果を検証し、持続可能な質の高い自然体験のあり方を検討する重要な取り組みとなる。
市道三太郎線は奄美市住用町の東仲間、西仲間両集落をつないでおり、この近辺はアマミノクロウサギなどの希少動物が多く、世界自然遺産の緩衝地帯。観光客の増加に伴いナイトツアーが集中しており、野生生物の交通事故や利用者同士のトラブルなど多くの問題が報告されている。世界自然遺産登録後はより一層の利用者増が見込まれるため、新たなルールをつくる必要があり、今回はそのための実験となる。
実証実験の期間は11月19~23日の5日間、午後6時から11時まで。住民、ガイド、観光客など三太郎線周辺道路を通行するすべての人が共通のルールで行う。実証実験の利用規制については法的強制力はなく、協力を依頼するかたちで実施する。
三太郎線の通行は事前予約制となり、メール、電話、ファックスのいずれかで申し込む。予約状況はWEBカレンダーで確認することができる。予約は車両同士の間隔をあけて15分ごとに1台ずつ、1日の利用台数の上限は20台となる。また、東仲間から西仲間への一方通行となる。
三太郎線の起終点(東仲間入口および西仲間出口)に簡易ゲートと人員を配置し、起点では実験の趣旨説明と事前予約の有無などの確認、終点ではアンケートの配布などを行う。
三太郎線と接続している市道スタル俣線と市道石原栄間線は夜間のみ通行止めとなる。
また、夜間観察のルールを▽晴天時は時速15㌔以下、雨天時は時速10㌔以下で走行▽前の車に追いついたら一旦待機し、無理に追い抜かないーなどとする。
奄美大島エコツアーガイド連絡協議会会長の喜島浩介さんは「ウサギがいるからこそ人間が行く。人間がルールを守るから持続的にウサギを見られる。みんなで守ることが大事。今回のルールはガイドも地元民も観光客も共通で、予約状況も確認できる。いい試みだと思う」と語った。
三太郎線の予約方法や予約状況確認など詳細は環境省沖縄奄美自然環境事務所のホームページで確認できる。