奄美の唄にフラメンコを乗せて

磯浜の朝日を受けながらのオープニング

コロナ自粛期間が後押し(結んだ縁)
映像で楽しむ「シマ唄とフラメンコ」
海や太陽と同じように世界は音楽でつながっている
徳田志帆さん・永志保さん

 鹿児島を拠点に奄美の民謡「シマ唄」とスペイン発祥の音楽芸術「フラメンコ」をつなぐ活動をしているフラメンコ舞踊家の徳田志帆さん(鹿児島市出身)と唄者の永(ながい)志保さん(喜界島出身)が、このほど「シマ唄とフラメンコ」のムービーを制作した。昇る朝日を拝みながら、暑い真昼の桜島で、神社の境内、夕暮れの浜など、鹿児島の魅力あふれる景色の中で、シマ唄とフラメンコが重なり合う映像を収めた。

 徳田さんと永さん、2人の出会いは鹿児島市内の奄美料理店。同じ名前を持ち、何かしら縁を感じていた2人は、会って意気投合。2018年から県の文化芸術の地域活性化講座で、シマ唄とフラメンコが体験・鑑賞できるイベントを毎年開催してきた。今回はコロナ自粛により、イベントも自粛の憂き目に遭ったが、その一方で、新しい発信として、今回の動画が製作された。

 オープニングは磯浜の朝日が昇る中で撮影された。海岸に午前4時半に集合、天気が心配されたが、雲の切れ間から朝日がのぞいた。静かに三味線を手にし、永さんが朝花を歌う。その傍らで、徳田さんが、舞う。 

 このとき徳田さんが踊ったのは、自粛期間中にメキシコのダンススタジオが、無料で配信していたレッスンで出会ったパブロさんから教わったナナ(子守歌)の振り付け。「たまたま朝花の音源を重ねたらビックリするほどシンクロしていてこの企画を考えるきっかけになった」と徳田さんは話す。

 徳田さんは幼い頃に龍郷町の秋名で暮らしていたことがあり、4年前に海外から鹿児島に帰ってきた頃から、シマ唄に興味を持ったという。「幼い頃に見ていた飲み会の後にみんなが立って踊り出す記憶も残っています。志保さんと出会ってからは、シマ唄の歴史などについても教えてもらった。知れば知るほど、シマ唄とフラメンコの共通点を感じます。今回は鹿児島の雄大な風景の中で美しく融合できたのではと思う」沢山の人に、鹿児島の魅力、シマ唄の魅力、フラメンコの魅力を伝えたいと意欲的に活動中だ。

 まるで「朝花」を聴きながら踊っているかのように見えるけれど、実は、徳田さんが聴いて踊っているのはナナ。それを感じながら見るのもまた面白いだろう。映像はこちらから。

 http://www.pref.kagoshima.jp/ab10/bunnkageizyutueizou.html
 (屋宮秀美)