アサギマダラをマーキング

アサギマダラを手に乗せる児童たち

翅に標識を記しリリースした

 

「蝶の王国発見」
今秋の南下調査始動 龍郷小

 龍郷町の龍郷小学校(末松雅之校長)で30日、今秋のアサギマダラのマーキング調査が始まった。この日は1~2年生(計9人)が長雲峠の道のり1・7㌔を歩き、虫取り網でアサギマダラ計35匹を捕獲。翅=はね=に油性マジックで日付、場所、児童氏名を記録し、自然に放した。なお、この日は記入済の個体は発見されなかった。

 同校はアサギマダラのマーキング調査に10年以上取り組んでおり、2017年度には野生生物保護功労者表彰で環境大臣賞を受賞した。放った蝶の移動経路把握のため、民間のアサギマダラのマーキング調査団体のネットワークにも登録し、全国と情報交換を行っている。団体の記録には、19年10月に愛知県西尾市で放たれた蝶が、11月に1843㌔離れた台湾の台北市で発見された事例がある。

 「謎の蝶 アサギマダラはなぜ海を渡るのか?(栗田昌裕著)」によると、アサギマダラはタテハチョウ科の蝶で、大きさはアゲハチョウほど。重さは0・5㌘にも満たないほど軽いものの、春と秋には1000~2000㌔ほど移動する。また、定期的に国境と海を渡ることが標識調査で証明された蝶はアサギマダラのみだ。一般的な寿命は4~5か月とされ、春は北上、秋は南下する。

 また、同校教員は長雲峠ではヤマヒヨドリバナ、ヌマダイコン、ツワブキを好んで吸蜜すると説明。同町農林水産課は、近年アサギマダラの好む植物は省いて林道の伐採をしているという。

 同日の調査で児童らは、模様が似ているリュウキュウアサギマダラにまぎれたアサギマダラを次々に捕獲した。特徴や捕まえ方などの事前授業があったこともあり、最終的には9人全員が最低1匹にマーキングを施し、南下した別地点での再捕獲を願った。

 浜田龍皇=りおう=さん(2年)は「たくさん捕まえて、7匹にマーキングした。素早く虫取り網を動かすのがコツで、リュウキュウアサギマダラとの違いは色」と話した。

 辺木碧音=あおと=さん(1年)は、ヤマヒヨドリバナの群生で翅を休めるアサギマダラの群れが一斉に飛び立つ場面に遭遇。「あの光景が目に焼き付いている。まるでアサギマダラの王国だった」と目を輝かせていた。