全児童生徒が伝統行事「豊年踊り」を披露して発表会を盛り上げた(写真は演目「稲すり」)
瀬戸内町の油井小・中学校(迫田智志校長、児童3人、生徒5人)は1日、同校体育館で2020年度学習発表会を開き、集落の伝統行事「豊年踊り」を上演した。児童生徒が全員で踊り、歌、演奏を披露し、保護者や住民も一緒に楽しんだ。
県の無形民俗文化財に指定される「油井の豊年踊り」。稲作の作業過程を芸能化した12演目は100年以上の歴史を持つとされ、同町を代表する民俗芸能の一つ。
旧暦の8月15日に開かれ、毎年多くの見物客が訪れるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため開催は中止。代わりに、子どもたちと学校が伝統行事への愛着を深めようと、学習発表会での開催を企画した。
この日は豊年踊りを一般公開する唯一の機会とあって、集落内外から来場があった。
全演目のうち土俵祓い=はらい=、観音翁の土俵見舞い、ガットドンなど四つを上演。もみをひき、玄米にする作業を表現した「稲すり」では、スルシ(摺=す=り臼=うす=)役の女性役の中心に回り、踊った。
上級生のチヂン(島太鼓)や三味線の音に合わせ、仮装した子どもたちの熱演に場内から大きな拍手が送られた。最後は六調で盛り上がった。
最年少で初参加した小1年の田畑結愛=ゆりあ=さんは「たくさん練習した。楽しかったので、次は三味線を弾いてみたい」と笑顔。 ヒゲフッシュ(観音翁)を演じた中3年の岡野真和=まなと=君は「みんな練習の成果が出ていた。後輩にはしっかりと伝統を受け継いでほしい」と話した。
上演に向けては地域の保存会も協力。週に1回のペースで放課後子どもたちを指導した。岡野弘明会長は「それぞれ役割を果たしていた。声も出ていて、うまく演じていた」と目を細めた。